EIZO CS2740を激推しする話

何に釣られたのか知りませんがようこそ!
もしあなたがEIZO CS2740の導入をお考えでしたら、迷うことはありません。すぐにECサイトに行って一台ポチりましょう。
責任は持ちませんよ。持ちませんが、これ以上の選択があるんですか?あったら教えて欲しいくらいです。世の中にはレタッチャーという職業があるそうですが、写真屋またはその周辺の職業人としてメシは食えずとも、撮影した大切な時間、大切なひと、大切な場所を美しく残したいというのは人間の本能だと思います。その為の近道は高い金を払ってカメラなりレンズなりを買い揃えて悦に入ることではなく、いいモニターを選び、適切な現像処理を行うことだと確信します。

私は写真が上手くなりたいとも、まして一流のフォトグラファーになりたいとも思いません。写真とは極私的な趣味ですので、撮影の意図や理由を他人に説明する理由はありません。写真を評価することに如何なる意味があるとも思いません。私は一流のフォトグラファーではなく、一流のレタッチャーになりたいといつも思っています。

最近はどこかのメーカーの廻し者かと思われる偽サイトが本当に多くて嫌になります。あのニコンでさえネット工作隊を使うようになりました。まさしく隔世の感がありますが、自分の使っている写真機材を不自然に持ち上げる輩、他人の使っている写真機材を必要以上に貶める輩に聞いてみるといいと思うことがあります。

「ところで貴方。モニターとプリンターは何をお使いですか」

私はプリンターはエプソンのPX3Vを使っています。理由は簡単で、写真をA2サイズでプリントしたいからです。そこから逆算してカメラはα7RⅣを買った訳なのですが、これがまた激しくレンズを選ぶ訳です。そうやってズブズブと沼に嵌っていく訳ですが、自称写真愛好家でさえA2プリンタを使ってる奴なんか千人にひとり、A3プリンタを使ってる奴もおそらく百人にひとりくらいじゃないですか。

そこから更に、印刷原稿としての現像を適切に行いたい、ソーシャルメディアへの投稿をしたいと思いを巡らせると「ハードウェアキャリブレーションの取れるモニターを買わないとどうしようもない」という仮説を立てざるを得ない訳です。だけどこんなの二千人にひとりくらいだと思いますよ?
という事は。わざわざこんなところに来たあなたもその二千人にひとりの物好き・・いえ、好事家ですね。私はデジタルカメラが吐き出したRAW画像をメーカーの専用ソフトでサルベージ出来なければユーザーの責任ではないと思います。ニコンZ6の吐き出した画像は遂にサルベージは叶いませんでした。八方手を尽くしてもダメでした。CS2740でモニターして現像してもダメでした。

そうやって私はニコンからソニーに乗り換えた訳ですが、どのメーカーの写真機材を使うにせよ、その前にまずはモニターです。「EIZOカラーマネジメントモニター使って、全力で現像を頑張ってもやっぱりダメでした。だから写真機材のメーカーを変えました」これ以上の言い訳はこの地球上に存在しないと思いますが如何でしょうか。

さて。ここからが本題です。

1.モニター選択の過程について
・モニターは10万出せるならNEC、20万出せるならEIZOとか言いますね。今ならBenQも選択肢に入るでしょうが、とにかくハードウェアキャリブレーションの取れる機器を選択することをお勧めします。
・私は4Kモニターが欲しかった訳ではありません。ハードウェアキャリブレーションが取れる機種という観点で本機とCG2730-Zの2機種に絞り込んで、こちらを選択しました。
・購入に際してはキャリブレーションセンサーEX4を同時購入しています。
・先の記事で正直に告白したとおり、プリンターとのカラーマッチング、SNSへの投稿を考えると色域はsRGBで統一するのがいいと思います。その意味でコストパフォーマンスがいいのはCS2410です。4K解像度も27インチも必要がなければ合わせてご検討ください。

2.PCとの接続について
本機のPC接続方法は3方式です。
(1)DisplayPort
(2)HDMI
(3)USB Type-C(映像信号出力に対応していること)

・現在使っているパソコンはWindows10の出始めの頃に買ったタワー型PCなのですが、DVI-I/DVI-Dしか実装されていませんでした。このため秋葉原のPC専門店に行って、店員さんと相談して購入したグラフィックボードと換装しました。
・私は本製品添付の映像信号ケーブルでDisplayPortに接続しています。購入に際しては、お手持ちのパソコンとモニターの接続方式について今一度確認することをお勧めします。

3.ディスプレイ解像度とスケーリングについて
解像度は3840×2160、表示スケールは推奨値の150%に設定しています。
但し、使用するRAW現像ソフトによっては解像度を落とす必要があります。この点は要注意です。
(1)ニコンNX Studio
・スケールの設定によってメニューバー/ツールバー/ブラウザーパレットの表示サイズが変わります。
 推奨値の150%でも問題はありません。現像時に操作がし辛いなと思ったら表示スケールを175%に上げると良いでしょう。
・表示スケールを変更した場合でも画像ファイルの表示サイズは変わりません。
・D850(4575万画素)の撮影画像を開き「ウィンドウに合わせて全体表示」をした場合の縮小率は35%程度です。※50%縮小表示で息をのむような再現性です。

(2)ソニーImaging Edge
・スケールの設定によってツールバー/調整パレットの表示サイズが変わります。
 推奨値の150%でも問題はありません。現像時に操作がし辛いなと思ったら表示スケールを175%に上げると良いでしょう。
・表示スケールを変更した場合でも画像ファイルの表示サイズは変わりません。
・α1(5010万画素)の撮影画像を開き「ウィンドウサイズに合わせる」表示を行った場合の縮小率は33%程度です。

(3)市川ラボラトリ SILKYPIX Developer Studio 10
・残念ですが4Kモニターを導入する意味はありません。シルキーでの現像がほとんどという方には現状、本機は推奨しません。
・スケールの設定を変えてもメニューバー等の文字サイズが変わりません。
・このため4K解像度(3840×2160)だと文字の表示が小さすぎて使い物になりません。解像度をWQHD(2560×1440)に落として使うことになります。

4.その他
・ベゼルに何も文字が書かれていません。モニターの使用感は最高です。
・ホワイトバランス調整において、これまでは色温度(シアン:レッド)調整だけで済ませていたものを、色味(マゼンダ:グリーン)の調整まで行うようになりました。
 これまでは色再現性の低いモニターを使って現像処理をやっていた為に、却って色味を壊してしまっていたのでしょう。
・いろんなものを暴いてしまうモニターです。絞り設定値による解像の違い、ノイズの出方。持ち出す機材の選定や撮影のスタイルにまで影響を与えています。
 撮影という行為のあり方に影響を与えてしまうモニターというのは、現時点ではあまり無いと思います。確実に値段以上の価値はあります。

ここまで言ってもまだ言い訳します?それは「買わない言い訳」でなく「買えない言い訳」ですね。その事自体は仕方ないと思います。こんな国に産まれてきてご愁傷様としか言えません。お互いちゃんと選挙に行きましょうね。