Profoto A10に手を出した話

ニコンが誇る世界一の撮影システムで、半ば常識として当たり前のように存在しているコンポーネントがあるとします。私も人間なのでついつい、ソニーでもそのくらいは作っているだろうという淡い期待を抱く訳ですが、残念なことにソニー機の世界では「こんなものも無いんか!」と吃驚することが多々あります。

一式叩き売ったニコンではあるものの、ダブルマウント、つまりニコンソニーの併用にしておけば良かったなと思うことがよくあります。写真機材を入換して一年が経ちましたが、両社の製品を実際に使って比較が出来る立場になるといろいろと見えてくるものがあり、最近では尚更その思いが深くなりました。ソニニコのいいとこどりが出来る訳ですからね。
それと同時に。どこかのキチガ、いえ、実際にソニー機をお使いになられた事はないであろうエアユーザーさん達が酷い空理空論を吐いている事も良く分かりました。

その辺の自称プロや底辺プロでもソニニコ両方使ったら直ぐに気付くだろうと思いますがね。枝葉末節はともかくとして
①レンズの逆光耐性
②RAW現像ソフト
③ライティングシステム
の三点に関してはニコンの圧勝でソニーに関しては庇う言葉も見つかりません。そもそも改善するつもりがあるのかと懐疑的にさえならざるを得ません。

そう言えば。
ニコンだったら何でも構わないという連中がこの世には一定数存在していて「ソニーはカメラボディのサイズが小さすぎて手の大きなプロが冬場にグローブして使うのは絶対に無理」という論拠でニコンを推す工作隊がいます。
残念ですが私はバカが大嫌いなのでこの手の議論には与しません。フォトグラファーになる為には身長、体重、性別、手の大きさといった制限事項があるとは思ってもみませんでしたね。戦闘機のパイロットになるのならまだしも、そこまでしてニコンに誘導しないといけない理由があるのなら教えて欲しいくらいで、もうちょっとマシな理由を考えてから出直してこいという所感しかございません。

命題には対偶という概念があることは中学の数学で習いますね。命題Aが真なら対偶も真です。「プロのフォトグラファーは手が大きい」という命題が真ならその対偶である「手が小さい人はプロのフォトグラファーではない」も真であると。アホか。中卒程度の知性があればそんな馬鹿げた命題を提起する筈もなく、ましてメーカーサイドは「ウチはプロユースなんでデカくて重いんです」なんて戯言は口が裂けても言いません。B2Cで自らマスマーケティングを放棄する馬鹿はいませんからね。つまりニコンがデカくて重いのには理由なんかありません。

個人的にはニコンなんとかせえと思う昨今ですがね。ニコンの強みはデカいことでも重いことでもない訳ですから工作隊はもっとしっかりしなさい。あ、皆さんご承知のとおりZfcは壊滅的に酷かったですが。

いやもう本当にソニー純正レンズのSEL1635GMなんか私はビクビクしながら使っています。太陽をフレームインさせたらお仕舞いだってね。何ですかあの謎の緑色の放射状の色付きは。ソニーの純正レンズでも順光ならそこそこ優秀ですが、逆光下では壊滅的なまでに絵が崩れることがあります。私は逆光で使い物にならないという理由だけで買ったばかりのSEL24105Gを売り飛ばしましたからね。

斯様に実際の撮影は昼間の順光下ばかりではない訳で、ソニーでは時々とんでもなく酷い目にあうことがあります。逆に撮影条件が厳しくなればなる程、底力を発揮するのがニコンの強みですね。ニコンを使う理由は信頼性であり堅牢性であり、それを支える豊富なアクセサリーにあるのであって、デカいからでも重いからでもないです。判ったか工作隊。

さて。
私が最初にソニーのシステムに対して「え?」と思った出来事はですね、とりあえずフラッシュは必需品ですので深く考えずにHVL-F45RMを買ってきた時に起きました。つまり買ったその後に気が付いたんですが、どこかに私と同じ人はいませんか?

ソニーってケーブルでフラッシュをオフカメラ出来ねえのかよ」

昔はあったみたいですがね、オフカメラ用のフラッシュケーブル。広く世界に目をやると、一応中国に作っている会社さんはあるみたいなんですが、納期は驚愕の一ヶ月。いくらなんでも受注生産ってことは無いでしょうから売れに売れて流通在庫が払底したんでしょうか。謎です。

ついでに言うとですね。HVL-F45RMのガイドナンバーは45ということになっています。
ニコンを使っていた時はフラッシュ3台持ちで、SB-500をトリガーにしてSB-700を2発焚いてました。単にポン焚きする時はSB-700を使っていましたが、SB-700のガイドナンバーは28です。

これ、おかしくないですか?いや、普通気がつきますよねどんな素人でも。サイズ感も価格帯も同じフラッシュなのにどうしてガイドナンバーがこんなに違うんだって。
結論を先に言うと、ソニーはフラッシュ製品のカタログスペックを糊塗する目的で、ガイドナンバー算出の際の照射角をわざと狭く取っているんです。やる事がいちいちさもしいですねえ。

ニコンSB-700
ISO100、照射角35mmのときGNは28

一方のソニーHVL-F45RM
ISO100、照射角105mmのときGNは45

は?

わざわざ24105Gを持ち出して、それもわざわざテレ端でフラッシュ焚くバカがいるかよ。何だよ105mmって。いや、実はキヤノンも堂々とこの手口を使っているんですが、フラッシュの性能を比較・評価するためにはISOと照射角を揃えてガイドナンバーを確認する必要があるということなんです。もちろん取扱説明書には詳細な記載がありますので裏付は簡単に取れます。

ニコンSB-700は前述のとおり
ISO100、照射角35mmのときGNは28

f:id:a1photomic:20220316094502j:plain

ソニーHVL-F45RM
ISO100、照射角35mmのときGNは26

f:id:a1photomic:20220316094600j:plain

あれまー。照射角35mmで比較すると、実はSB700の方がガイドナンバーは大きいという事ですね。それじゃあソニーHVL-F60RM2はどうなのよと思って調べてみたら、さあ大変。ISO100、照射角200mmのときにGNは60だって言うんですよ。腹いてー!わざわざフラッシュ焚く為に70200GM持ち出してテレ端でショットするバカがいるかよ!

 

f:id:a1photomic:20220316094648j:plain

条件を揃えるためにHVL-F60RM2の照射角35mmはどうなのかを見てみましょう。

ソニーHVL-F60RM2
ISO100、照射角35mmのときGNは30

はあ?

F60RM2とF45RMの光量差は照射角が35mmのとき30÷26=1.15倍です。
ガイドナンバーが倍違えば絞り2段分の光量差、1.4倍なら絞り1段分の差、1.2倍なら絞り半段分の差ということになりますが、絞り半段分の光量差も発生しない性能の差だからこそ、ソニーはガイドナンバーの算出基準という名のゴールポストを、素人目にはそれと判らないように勝手に動かしているんじゃないですか?

これはある種の犯罪じゃないんですか、犯罪。

だってソニーは確信犯として自社のユーザーさえも欺いている訳でしょ。自分の会社のフラッシュなのに、何故同一の基準でガイドナンバーを公表しないんですか?何か公表出来ない後ろ暗い理由でもあるんですか?

あんた達がそんなに105mmが好きならガイドナンバー表記も105mmで統一すれば良いではありませんか。すみません間違ってました。HVL-F60RM2じゃなくてHVL-F49RMでしたってね。あらららら、HVL-F45RMは最近リニューアルされてHVL-F46RMになりましたがね。ガイドナンバーはたったの3しか違わないじゃねえかってね。

どうして斯様なインチキがまかり通るんですかね。まあ、営業が黙ってないんだとは思いますが。その昔、ソニーでは井深大よりも盛田昭夫のほうが偉かったのかも知れません。何をやったって売れさえすればいいんだってね。

ちなみにニコンSB-5000のガイドナンバーはISO100、照射角35mmのとき34.5、同200mmのとき55です。ニコンはスピードライトのそもそもの設計を、標準域で使ったときに最も性能が出るように考慮して執り行っている訳ですね。こういうところは本当に、今でも素晴らしいと思います。

一連のソニーの欺瞞は優良誤認を誘引するいつもの手口ではありますが、ソニーだのキヤノンだの本当に志が低いですよ。見掛けのカタログスペックだけは上等ですが、現場に持ち出してみたらさあ大変。どうしてこんなに思ったとおりの性能が出ないんだと。俺のフラッシュのガイドナンバーはニコンの倍ある筈じゃないのかと。
集合写真のポン焚きでニコンの自称GN28のフラッシュと、ソニーの自称GN60のフラッシュをそれぞれ使ってみたらあら不思議。有意差はどこにもありませんでしたって言うね。

なんでだろー。

何度でも繰り返しますが、ガイドナンバーは発光量の前提となるフラッシュの照射角を変えれば、どうとでも数字を弄ることが出来るんです。そしてこの照射角をニコンは35mm、ソニーは105mm/200mmとしています。
優良誤認が発生しないよう常識的な照射角を選択して、かつ社内製品間の比較においてミスリードが発生しないようきちんとモノサシを揃えているニコン。同業他社用の営業施策として自社製品に下駄を履かせるソニーキヤノン。さらにわざとバラバラのモノサシをつかうソニー

一体どちらが道具として使う人の立場に寄り添っていると思いますか?換えて言うと、あなたはモノを作る会社として、ニコンとソニキヤノの、一体どちらが誠実だと思いますか?私はこういうところに嫌気が差すんです。ソニーのやり口には心の底から吐き気がします。

ケーブルでフラッシュをオフカメラ出来さえすれば、私は恐らく何の疑問もなくソニーのフラッシュ製品を買い増ししていったんでしょうけどね。

だけど、放電管なんかカメラメーカーがいちいち作っている訳がありませんし、下手すりゃフラッシュ製品丸ごと他社のOEMだったりします。ニコキヤノが提供するオフカメラケーブルをソニーだけ作れない理由はどこにもない訳で、変残念なお知らせですがソニーは商品政策として、高価な無線式のフラッシュトリガーをわざわざ購入するように仕向けているという事になりますでしょうね。

だったらいらんわ。ダボ。

さして性能が優れているとも思えないソニー純正の製品群でライティングシステムを組むことに嫌気が差した私は、ソニーのフラッシュは中野の中古カメラ店で下取り特価があった時に里子に出すことにして、社外品でシステムを組みなおすことに決めました。

ま、社外品ならNissinかGodoxかProfotoだろうという話になる訳ですね。だけど値段に目が眩んでメーカーを選択するのは、安物買いの銭失いを二度やらかす事になるんじゃないのかと。あ、ユーザーの皆さんに敵意はありませんので為念。ソニーをぶん投げて例えばGodoxに行くのは判断として正しいと思います。

私は素直にProfotoにしましたというのがこの話のオチですが、今回も枝葉ばかりで内容のない記事ですね。選択理由等、詳細はまた別途。