イケてない?広島
昨年の5月連休に、広島に遊びに行った。
常宿のビジネスホテルで新聞を見ると、1面の左肩に「イケてない?広島」という文字が躍っていた。
福岡市生まれ、広島市育ちで東京23区在住の僕にとってこの特集には「何を今更」という所感しかなく「広島みたいな使えない田舎が他にあるかボケ」と紙面に言葉を吐き捨てた。

ここで言う広島というのは実態としては「広島市」のことだよ。この特集は「広島県」の人口流出(社会減)を切り口にして始まったのだけれど、5月連休以降の論点は「広島市」がイケてないのは何故でしょう?になっていたからね。広島市でのコンサートの開催回数とか、福岡市民の見た広島市とか。
僕は、県と市がそれぞれ喫緊で取り組むべきテーマは違うと思う。広島市域が限界集落になる事はないけれど、広島県は県北や島嶼部の過疎化にもきちんとフォーカスして対策を取らないといけない。多分湯崎と松井は仲が悪いんだろうけど、僕は広島市に言いたいことなら腐るほどある。
さて。僕は中学1年の時に、父親の転勤に帯同して福岡市から広島市に転居した。この土地にはどうしても馴染めないなと思い始めた頃、僕は広島という「サル山」に入る条件がニつあることに気が付いた。
ひとつは広島弁を操る事。
もうひとつは、嘘でもカープファンを自称する事。
分かりやすいだろ。同調圧力というヤツさ。
開放的な土地柄の福岡にはそんなものは無かったからね。はっきり覚えているけど、転校先の中学で標準語を操っていたら同じクラスの女子はこう言い放った。
「オカマみとうな」(オカマみたいだ)
僕はとんでもないクソ田舎に来てしまったと頭を抱えた。この女は「ゲシュタポ」か何かなのか。各クラスには特殊な任務を帯びた工作員が配置されていて、広島転入者を暴き出しては強制収容所にでも送るのか。いずれにせよヒロシマでは多感な時期に、こんな風に、ひたすら長いものに巻かれて生きる事を叩き込まれるのだ。
そこのキミ。広島ではクルマひとつ自由に選べないから気を付けた方がいいよ。マツダ以外のクルマを公用車にしようものなら「わりゃ何考えとるんなら」と恫喝されるからさ。ま、結局のところ、
「貧乏で閉鎖的な田舎」
というのが広島の本質だと僕は思う。
もし、東京から広島に移り住んだ小学生が読売の黒帽子を被ろうものならどうなるか。
間違いなく虐めに遭うね。だって僕、広島で見たことないもん、読売のYG帽。
「余所者はいね(帰れ)や、ここは広島で?」ってね。
本通りあたりの帽子屋が大事な商品に悪戯されて、取り扱いを止めたのかも知れないけどね。異なる価値観など絶対に許容しませんというのが広島流でさ。
ヒロシマの程度の悪いチンパンジーどもは、謂われのない同調圧力をこれでもかとばかりに繰り出し、ひたすらマウントを取ることに執念を燃やしていた。それは本当に陰湿で、ガキの小競り合いというレベルの話ではなかったのだが、万事鷹揚な街、福岡生まれの僕には未だに理由が分からない。
僕は福岡の幼稚園と小学校、入り直した東京の私立大学に関してはいい想い出しかない。一方で広島の中学と高校、更には入ってすぐ辞めた私立大学には何らいい記憶がない。つまり僕は、広島に懐かしさを感じはするものの、思い出すのは当時感じていた閉塞感だけだ。これは一体、どういう理由に依るものなのだろうか。
広島の中学生・高校生を、カテゴリー別に2×2で分類するとこんな感じではないかと思う。
①家に金の裏付けのある利口
私立の難関中高一貫校に入学し、大学受験では国公立の難関大学や医学部を目指す。公立のおバカ中学にはそもそも来ない。人生勝ったも同然。
②家に金の裏付けのあるバカ
人生は大学で逆転できることを知っていて、総じて温和でスレていない。3教科で突破できる東京や京阪神の私大に進み、卒業後はまともな仕事のない広島には決して帰ってこない。
③家に金の裏付けのない利口
高校卒業時点で指定校制度のある地元有力企業にサラッと就職するか、公立上位高から国公立大学に進む。ちなみに僕の中学のいちばんの秀才は、広大附属高から大阪大学に進学した(浪人できないから阪大にしたという本人談の破壊力。半端ねえ)。
④家に金の裏付けのないバカ
低能にして夜郎自大。人の脚を引っ張ることに無上の喜びを覚える。大学?何それ。修大か工大で万歳。人生積んだも同然←
②と③はいいよ。人間が歪まないもん。だとすると、問題の所在は①と④だろ。
まず①だけど、福岡は久留米大附設を除き、高校トップは全て県立なんだよね。一方の広島は国立と私立が強く、公教育がまともに機能していないことが推認される。
公教育の教員は知的好奇心の喚起には一切関心がなかったね。中学も高校も。教員どもは上向け上で毎日を穏便に過ごすことだけを考えていたよ。
だから広大附属と私立御三家である修道、学院、清心があれだけ強い訳で、親御さんは「地域の吹き溜まりの公立中学なんかとんでもねえ」と思ってる訳だろ。
これは拙いと思ったのか、管理教育の総本山、広島県と広島市は高校を総合選抜から単独選抜にしたけどね。中高一貫校を作ってみたりとかさ。だけど、行政トップの広島市長が憲法違反の教育勅語を持ち出して児童生徒の管理に全力を挙げる始末だから、もうどうしようもないわな。
何度でも繰り返すけど広島の公教育の歪さは酷いものがあり、今後も期待はできない。期待できないが故に、教育の価値を知り、かつ学歴の恩恵を受けてきた親は我が子のために良質な教育を金で買う訳だ。
東京でもよく見るけどね。有名進学塾のランドセルを背負った子どもたちを。まあ、しんどいだろうね。本人にしてみればさ。
だけどまあ、良家の子女であるところの①の本人は勝ち組の自分を意識しているから他人の脚を引っ張る必要がない。後は人生、おかしなところで転ばなきゃいい。製紙会社の社長とかホリ●モンみたいにさ。多少の挫折は気にしなくていいから、みんな曲がらず真っ直ぐに育つといいね。
次に④だけど。
これ、どこに救いを求めたらいいのかな。
今だから率直に言うけど。広島はこのカテゴリーのバカが滅茶苦茶多いんだよ。
広島は支店経済の街でもあるから、親は東京あたりから嫌々飛ばされてきた人も多い。広島市旧市内に住んでいる人の一部は、それなりの勤め先でそれなりの対価を得ているだろう。メガバンクの広島支店の部長級管理職とかね。
じゃあ親がカネを持っていない残りの大多数、ネイティブの広島民はどうなるって話だけどさ。本人は意識を高く持って、かつ努力を継続しないといけない。だけどバカはバカ同志つるむからね。暴走族が徒党を組まないと何もできない低能なのは判るだろ。それと同じことで区分④は区分③の脚を全力で引っ張って仲間に引き込もうとするから注意しないといけない。区分③のみんな、バカには呉々も気をつけるように。
広島市内でさえこの体たらく。それなら、広島の市街地をちょいと離れたらどうなると思う?
はっきり言って悲惨だぞ。広島の奥座敷湯来温泉とか、怪しいポピュリスト市長を輩出した安芸高田市とか、怪獣ヒバゴンが出るという比婆山のあたりとか。何にもねえもん。いや、比婆山は今のところJR芸備線があるからまだマシか。三段峡はとっくの昔にJR可部線が区間廃止されたものね。
東京なんかいいよな。自宅から学割で公共交通機関を使って大学に通えばいいんだしさ。実は意外と金が掛からないのが東京で、生活コストが軽ければ私立大学に進学しても何とかなる。だけど広島はそうはいかない。一部の市街地を除き人口集積度が低すぎるからでこれは個人の努力ではどうしようもない。
人間の能力など本来、然程変わらない。だが広島の市街地以外に暮らす高校生に対して「環境面でのビハインドを跳ね飛ばして頑張れ」と言うのは、あまりに無責任というものだろう。自宅から大学に通おうと思っても高校卒業までに普通免許を取って通学専用のクルマでも保有しない限り不可能だし、そもそも質の高い受験準備をすることさえかなりの困難を伴う。受験に失敗して浪人すれば広島市の中心部に下宿して予備校に通うことになり、余計に金の裏付けが必要となる。それらは東京では絶対に発生しないコストな訳で、高校生にとっては広島に住んでいる事自体が大きなハンデ、ディスアドバンテージだと言っていい。
広島では、ざっくり言って高校卒業者の6割が大学に進学する。更に、大学進学者のうち県外進学者と県内進学者が半々に別れる。県内進学者のうち、広島大学に進むのは1割。残りの9割は、5つある公立大学か15ある私立大学に進む(なお、短期大学は3校)。広島の公立大学は県東部にも県北部にも設置がなされており、これは教育行政の大きな成果だと思う。学びの場所は絶対に必要なので、是非この先も深化させて欲しい。ちなみに法人名とキャンパスの所在地は以下のとおり。
・県立広島(広島、庄原、三原)
・叡啓(広島)
・広島市立、尾道市立、福山市立(法人名が所在地)
参考:広島県の大学・短期大学一覧
その一方で。地元私立大学への進学について「競争原理が全く機能しなくなった」事は深刻な問題だと思う。上述のとおり高等教育を受ける機会は絶対に必要なのだが、広島の地元私大進学者は入口の段階から自己肯定感が極めて低い結果しか得られない。地元には難易度が最低ランクの私大しか存在せず、かつ他に選択のしようがない。金の裏付がなければそこに行くしかないが、それが就職時に有利に作用することは決してない。
受験を突破して大学に進学する事が人生の全てではないとしても。それに換えて、本当にやりたい事や、本当になりたい自分を探すことは、広島みたいな田舎では難しい。僕は広島の私立大学を止めた日のことはよく覚えているが、入った日のことは全く覚えていない。恐らく入学式はあったのだろうが、出席した記憶もなければ、式典の内容も記憶にない。青雲の志?何それ。
今にして思うと。
広島で育つ「半数」の人間は「親には金の裏付けがなく、自分は進学先さえ自由に選べない籠の鳥」であることを漠然と自覚しており、「こんな田舎で夢だの希望だの描けるか」という思考に支配されているのだろう。将来に展望が描けなければ「腹いせに誰かを引き摺り下ろしてやる」という行動様式に走ることは自明で、広島にごろごろいる「最初から諦めて何の努力もしないバカ」は社会の害悪でしかない。
広島では、斜に構えた低能が半笑いを浮かべながらマウントを取ることに躍起になる。「何が正しいか」には微塵の関心もなく「先にここにいる自分が正しい」という思考回路でご高説を展開する。本当に心の底から吐き気を催す。
僕は最初、広島にはそこここに「ブチの猫」でもいるのかと思った。ブチ暑い、ブチ眠い、ブチ大儀い。今日は「凄く暑い」と言おうものなら即LGBT呼ばわりするのが広島流。このどうしようもない田舎の程度の悪さ。醜悪でしかない。おバカさんとは合意形成できないのではない「合意形成しようとしない低脳のことをバカと呼ぶ」のだ。
☆ ☆ ☆
これらは閉鎖型ソサエティーの特徴だから「田舎なんてそんなもん」と言えばそれまでだ。僕は、広島から東京に逃げ出して良かったと思っているけれど、結局、総体としての広島の喜悲劇は「外形上はただの田舎の中核市」という現実と「国際平和都市ヒロシマ」という何ら実体のないイメージとのギャップに起因していると思う。
戦後80年が経過しようとも未だに広島最大の産業は「平和」なのがその証左で、目鼻の利くヤツはインバウンド特需に乗り遅れるなという薄汚い本音を隠して「ピカドンでハングリーハングリー」と外国人観光客のお溢れを乞う。広島はいつまでもヒロシマである方が都合のよい連中が一定数確実に存在しており、現に起こっている戦争に抗議することは絶対にないくせにバラク・オバマが来たくらいで「平和公園は聖地になった」といった類の、意味不明の論説を展開する。
誰かの適当な言い分を鵜呑みにして、広島市民球場跡地は未だに更地のままだ。表向きは原爆死没者慰霊碑と原爆ドームの位置関係を考慮して「景観保全上」現状のまま残したいという話になっているが、夕刊を廃刊した落ち目の地元新聞社がイベントで使いたいからゴネているというのが専らの噂だ。同じく慰霊碑から視界に入る位置にあるにも関わらず建設された「おりづるタワー」は、広島マツダが噛んでいるから許容された事で、はっきり言って広島財界人のご都合主義は醜悪でしかない。
広島が背負った過去は語り継がにゃいけんじゃろう、それはワシらの責務なんじゃけえ、ゼニがいるんよ。ほいじゃけえワシらに利権を回せえやと言うのなら。過去は直ちに清算するべきだ。原爆ドームは負の世界遺産だが、それが広島を取り巻く自縄自縛の根源ならいっそのこと更地にでもするほうがいい。昔の広島ヤクザ、今の平和ゴロ。一体何が違うのか。結局、広島は声のデカいマイノリティーが大暴れする、稀有な政令指定都市でしかない。
毎日を真っ当に生きるひとにとって、現況は迷惑以外の何ものでもないだろう。広島大学がいなくなって久しい千田地区に何が出来るのかと思っていたらタワマンだという。これには本当に腰を抜かした。放送大学が千田にあるのはともかくとして、学生街から大学が消えたら喰えない街になるのは当然だろ。だったら被爆建物の保全をしながら、跡地には県立大なり市立大なりを誘致すれば良かったじゃないの。
本通商店街はケータイ屋とゲーセンとドラッグストアだらけになった。ここがシャッター街になる前に、広島市はいっそのこと中区全体を買い上げて更地にして「シン平和公園」にでもしたらどうだ。今からだって出来るだろう、あの本川と元安川の三角州にだって、原爆が投下される前は大勢のひとが住んでいたのだから。

さて。市の中心部の放置とトレードオフの関係にある広島駅前の再開発がようやく結実しようとしているけども。どうして友愛市場を潰したんだろうね。結局、僕は広島のひとは、都会的な景観が欲しいだけだと思う。駅ビルが建て替えられれば広島駅前の景観だけは綺麗になる。だけど僕はこの子どもたちの姿を見た時、一体誰のための再開発なんだろうと思ったね。以前の広島駅は究極のバリアフリーだった。改札は1階にあり、改札を抜けると即、1番線のホームに入ることが出来た。岩国方面に向かうお年寄りにとっては優しい駅構造だった。僕はこの駅が好きだったね。

子どもたちには物事の本質を見通す力があるからさ。この子たちは結果的に広島のシンパにはなってくれないんだろうなと思う。広島市民はひとりも問題提起することはないけれど、こんなの駄目だろ。だってこの子たちは平和教育の一環でここを訪れている可能性が高い訳で、それを仮にも県の代表駅である
JR広島駅前で体育座りとは気は確かなのか。広島市は何故、子どもたちのために南口地下広場を無料で使えるよう手配しないのか。みんな広島にとっては大事なお客様だろう。
もし雨が降ったら、なんてことは誰もイメージしないのか。そもそも新しい広島駅ビルは、改札を出たら右か左に曲がって、建屋から強制的に退出させられる構造になっている。長い旅程の後に疲労感を覚えたとしても新幹線口を出たところに意地悪ベンチが数脚あるだけだ。
新しい駅ビルに出来たものは小奇麗なテナント用のスペースだけ。つまり何をするにも金が掛かる。駅には構内に一旦人を溜めてそこから掃き出す機能が求められるから以前は待合室というものがあった。だけどもう、ここにはそんなものはない。依って駅改札を出たら、ビルの外で体育座りするしかない。
JRはこう言うだろう。私たちはもうJNRではありません、Japanese National Railways つまり日本国有鉄道の国有が外れた以上、公益性を担保する立場にはありませんと。だとしたら、広島駅前地区再開発のグランドデザインを描いた広島市が街の公益性を確保するしかないが、その気配は無い。
二葉の里地区の再開発に関連して、JR広島病院は広島県がJR西日本と医療法人JR広島病院から239億円で取得済み(朝日新聞)。広島県は四つの病院を統合する計画だが、資材費の高騰を理由に計画を見直し中だという。広島県も広島市も結局はババ抜きのババを押し付けられて頭を抱えるだけ。その芸風をいい加減、何とか出来ないのか。
☆ ☆ ☆
僕は六本木のキャバクラで飲んでいて、おねえちゃんに「ヒロシマの残留放射能は大丈夫なんでしょうか、行ったら被曝しますか」と真顔で聞かれた事がある。「実質的には残っていない」というのがその答えで、残留放射能の影響は無視できる。これは知識の問題で、飛行機に乗っても歯医者でレントゲン写真を撮影しても一定の被曝は発生するが、その影響は無視できるというのと同じことだ。つまり知っていても知らなくても問題は起きない。一方で、何故平和教育が必要なのかという問題は「戦争は政府の行為による大量殺戮だから」であって、社会の構成員に正しく認知させる必要がある。
これは理解以前の問題、つまり教育というよりしつけの問題に近い。「何故戦争はいけないか」という問いかけは「何故投票にいかなければならないか」という問題と同じで、理解を伴うべき問題ではない。傘は先端をきちんと下のほうに向けて持ち歩かなくてはいけないが、世の中はそんな事さえ「しつけ」られていない低能だらけ。だからこそ平和教育は多感な少年少女期にこそきちんとした形で実施して欲しいと願う訳だ。
僕の小学校の平和教育は修学旅行とセットだった。福岡からバスは海岸線を西に走り、長崎の平和記念館に行った。平和記念像の意味は今でもちゃんと覚えている。
宿泊したのは噴火する前の雲仙で、ミヤマキリシマの花が美しかった。僕は観光バス会社の名前、ガイドさんのお名前、彼女のあだ名は名前をひっくり返して読んだものであることまで覚えている。更には彼女が腰を強打してまともに立てなくなっても座ったまま業務を全うされたこと、全ての旅程が終わりに近づいた頃に別れを惜しんで感極まり、涙を流されていた事まで思い出せる。素敵な方にアテンドされた思い出深い旅だった。
一方、広島の修学旅行はと言えば、何故だか行先は京都・奈良。そんなもの大人になれば行けるだろ。本当にどんな目的でどこに行ったのか全く覚えていない。覚えているのは琵琶湖大橋の形くらい。嫌で嫌で仕方なくてさっさと帰りたかった。つまり、良質な教育は結局、良好な環境と信頼に値する人間関係の下で実施しないと駄目なのだ。
写真の子どもたちはこの後、市内電車で平和公園(広島平和記念資料館)に向かったものと思うけれど、広島市は子どもたちにヒロシマの惨禍を語り継いで欲しいのだろうか。それとも子どもたちに広島のネガティブイメージを刷り込むことを企図しているのだろうか。
僕はこの経験から得られるアウトプットはおそらく後者だと思う。この子たちが成人した後に聞いてみたらいい。全員こんな風に答えることは確実だ。「広島?行きましたよ、平和教育で。駅前のコンクリの地面に体育座りさせられて、市内電車に乗せられて、後はひたすら暗い話を聞かされました」ってね。つまり広島の悪い印象だけが増幅される仕掛けになっている訳でそれでは何の意味もない。再開発を契機にして広島の印象が悪くなるのなら本末転倒で、そうなる前に駅前にパブリックスペースくらい整備すればいい。そんな簡単なことが何故できない。
☆ ☆ ☆
一旦染みついたネガティブイメージはなかなか消えない。企業だって大学だってそうだろ、街だって同じことだ。広島に染みついたネガティブイメージで割を食うのは実は市井の市民なのだが、肉屋を支持する豚の群れは、それでもやっぱり東京生まれで東京育ちの岸田文雄に投票し続ける。
核兵器の廃絶は絶対に求めませんというのが自民党の主張だが、高邁な理想で飯は食えないということを庶民はよく知っている。プロ市民に言いがかりをつけられたくらいではだしのゲンが図書館から勝手に姿を消したが、市民団体なり学校の生徒会なりが猛抗議したという話は寡黙にして聞かない。それが広島市民の狡猾な二枚舌で「復興はこれまでもこれからも東京が何とかしてくれる、ワシらは長いものに巻かれて生きるんじゃ」というのがヒロシマの生存戦略。ま、仕方ないんじゃないですかね(棒読)。
広島は原爆の投下に依って歴史を寸断されたという特殊性を抜きにしては語れない。全てゼロから再出発した街は「まともな自由競争に晒されたら、ワシらに勝ち目はない」ことを知っている。広島東洋カープはドラフト制度が導入されてからようやく戦力が整い、球団設立26年目にして悲願のリーグ優勝を果たす。ところがFA制度なんてものが出来たお陰で元の木阿弥。以後四半世紀に一度くらいカープは強くなるが、後はCSを目指すのが関の山のチームだとみんな分かっている。だから広島市民は最初から勝ち目のない東京的なもの、大阪的なものが大嫌い。それが広島のレーゾンデートルで広島以外は全部敵。市民はいつまでもウチとソトを区別して、外をひたすら敵愾視し、排除し続ける。
それがいつまで続くのか。おそらくは原爆ドームが崩落し、更地になった跡地に新しいモニュメントが建設されるまで続くのだろうが、僕には広島がありふれた普通の街になるのが、一体いつなのかは判らない。
☆ ☆ ☆
さて。それでは他の都市と比較をした場合どうなのか。当の広島在住者が「イケてない広島」「おしい広島県」と思うのは何故なのか。
「札仙広福」と、記者さんは広島市が他都市と同格という前提で論拠を組み立てていたけどね。
これは広島でよく見る認知の歪みなのだが、札幌、仙台、福岡にあって広島にないものが二つある。何だと思うかな。
少し考えたら判る。
答えは「地下鉄と旧帝国大学」だよ。
なに?アストラムラインは地下鉄だって?広島にだって地下鉄はあるぜってか。
バカは話し掛けなくていいよ。前者は都市基盤、後者は教育環境のことさ。つまり、若い人にとって、広島は東名阪の三大都市はもとより札仙福と比較しても「都市の吸引力」で劣るのは客観的に見て揺るがないと言っているんだよ。
まず、国内の施設所在地別の「延べ宿泊者数」はどうか。これは簡単に見つかった(2024年実績値)
観光とビジネスを分離することが出来なかったんだけど、それにしても北海道が強すぎる。
外国人に限定すると、福岡の実績値が跳ね上がる。何と言ってもアジアに近いし、飛行場、港湾が整備されているからね。この指標に関しては世界遺産をふたつ持っている広島が、日本人の、おそらくは観光客の集客において健闘しているという見方はできると思う。
■日本人及び外国人
北海道 44,628,500人
宮城県 10,265,630人
広島県 12,072,450人
福岡県 23,950,020人
■日本人
北海道 34,316,740人
宮城県 9,489,000人
広島県 10,114,280人
福岡県 16,563,990人
■外国人
北海道 10,311,760人
宮城県 776,630人
広島県 1,958,170人
福岡県 7,386,030人
それでは滞在日数を考慮しない指標はないかと思って探したんだけど、エアラインの旅客量で代替できると思う。(2024年実績値)
| 1羽田-新千歳 9,512,671人 |
| 2羽田-福岡 8,912,874人 |
| 3羽田-那覇 6,635,608人 |
| 4羽田-大阪 4,922,956人 |
| 5羽田-鹿児島 2,464,085人 |
| 6福岡-那覇 2,163,805人 |
| 7成田-新千歳 2,106,919人 |
| 8羽田-熊本 1,978,363人 |
| 9羽田-広島 1,859,635人 |
| 10羽田-長崎 1,697,103人 |
| 11成田-福岡 1,558,551人 |
| 12羽田-松山 1,536,120人 |
| 13関西-新千歳 1,442,727人 |
| 14羽田-宮崎 1,435,034人 |
| 15中部-新千歳 1,363,691人 |
こちらの指標は広島にかなり都合が悪い。仙台が出てこないのは圧倒的に東京に近いからで新幹線はやぶさで最速1時間30分。こんなの東京の隣町だ。(ちなみに東京ー広島間は新幹線のぞみで最速3時間43分。新幹線の乗車時間が4時間を切ると航空機と新幹線の利用者は拮抗すると言われているので、実質的に東京ー広島間の移動需要は年間400万人程度はあるものと推認される)。ただ、広島が熊本の下、長崎の上というのは僕にとってはかなりの衝撃で、確かに広島の立ち位置はそのくらいかなあという気はした。
次に大学だけど、これはもう明らかに分が悪い。国立大学法人の序列は誰がどこからどう見ても、東北>北海道≧九州>>広島(後述)。東京の高校生で東北大、北大に憧れる人はいても都落ちして九大・広大に行く理由は何もない。両校ともキャンパス移転が失敗だったのは明らかだ。
それでもまあ、広島大学は地元にしてみたら難関大学である事は間違いないけどね。特に医歯薬系はさ。
広大は入試状況を公表しているから調べてみたんだけど、2025年入試における広島県内の合格者は「僅か781」人で、広島県内進学者の1割。ちなみに県外合格者は1852人。
もし君が広島在住で、学歴フィルターに引っかかるのが嫌なら。君は広大に行くか、広島を出るしかないよ。だって広大の781人以外、全員アウトなんだから。
好きで地元に残るのなら何の問題もないよ。心の底からこの街が好きで、地場の企業に就職したいと思うのなら。だけど嫌々広島の私立大学に行くのなら止めたほうがいい。就職先の選択の幅は確実に狭くなる。君は悪くないし、誰も悪くない。だけどそれが世の中の現実だから直視しないとどうしようもない。
しかも、だ。世の中は甘くないときた。
河合塾によると、2026年度大学入試における広大経済学部の二次試験予想難易度(偏差値)は55。
もし、君の家に金の裏付けがあって、かつまともに就職したいと思うのなら私大は最低でも明青立法中(MARCH)に行くしかないだろ。学歴フィルターに引っかかる可能性が低いからね。
そこで調べてみたんだけど、経済・経営系で明青立法中最難関の立教経営は偏差値65。明治商、経営は62.5、青学経済も62.5、中央経済は60.0、法政経営(A方式)は57.5。いつからこうなったのかは知らないが、とんでもない無理だろこれ。
つまり「広大合格のMARCH落ち」が当たり前と。
凄まじい現実だ。
◾️参考:偏差値や地理的、経済的制約がない場合、生徒に勧めたい大学(大学通信)
東北大(5位)>北大(8位)>九大(15位)>>広大(27位)
早大(1位)>慶大(4位)>東京理科大(6位)>明大(7位)>上智大(9位)>>立教大(21位)>青学大(23位)>広大(27位)
さて。行きがかり上、と言うか念のため「札仙広福」にある、主要私立大学の難易度も調べてみた。国立がイケてないのは仕方ない。相手は旧帝大だからな。それなら私立はどうなんだって話になるけど、主要大学には必ず法学部法(律)学科があるから、この難易度を比較するのが手っ取り早いよね。
西南学院大学(福岡)…50.0(~52.4)
福岡大学(福岡) …45.0(~47.4)
北海学園大学(札幌)…42.5(~44.9)
東北学院大学(仙台)…40.0(~42.4)
広島修道大学(広島)…37.5(~39.9)
広島にある「法学部」は広島大学と広島修道大学のふたつだけなんだけど一体どうしてこうなるんだ。
ちなみに2025年入試における、広島修道大学法学部の一般試験(前期・全方式計)の倍率は1.2倍だそうです。受験者968人、合格者788人。不合格者たったの180人。
マジっすか…
これでもし受験者が180人(18.6%)減ったらどうなるんですかね。広島県の18歳人口は2026年にピークアウトして、そこからなだらかに減少する。2036年には2024年比で11.4%減るという話だ。依って、広島修道大学法学部の入試難易度はあと10年もすれば更にワンランク下がると思うけど、これは区分で言うと「偏差値37.4以下の下限なし」所謂Fランってヤツになってしまう。
とは言うものの。これは広島全体で共有・改善すべき問題で、単に学校法人側だけが責めを負うべき問題では無いよね。東京には上は早慶から下は大東亜帝国に至るまで腐るほど私学の法学部がある。大学の伝統や就職実績、更には難関資格の合格者数に基づく順位づけで下位に甘んじるのならそれは大学の責任だと言うより他にない。だが、繰り返すけど広島に法学部はふたつしかない。街に魅力が無いのなら、私学の合格難易度は単純に県の18歳人口に依存する。人口の減少局面では、必ず大学の難易度は易化する。
もし、広島から私学の法学部が無くなったら。地元民としては困るだろうね。広大は資格試験にはからっきし弱いから、中国電力だの広島銀行だのに就職するのならともかく、資格取得のためなら無理して行く理由は無い。広島は「カバチタレ!」の舞台だけど、行政書士なり司法書士なり公務員なりを目指そうという若い人は、大学受験の時点で県外に出て行かざるを得なくなる。え、君は司法試験合格を目指してるの?だったら最初から東京の難関大学に行きなさい。
さて。2024年7月28日の中国新聞配信記事によると、広島県内に本部を置く私立大14校のうち、定員を充足しているのは広島赤十字広島看護大学と、広島修道大学の2校だけだそうだ。すると入口の難易度がどうなるかというと・・グズグズ言っても仕方のないので論より証拠、こちらをどうぞ。
■参考:2026年度入試難易度予想/中国四国地方 私立大(河合塾)
https://www.keinet.ne.jp/exam/ranking/2026/h_dai_s06.pdf
泡吹いて倒れるかと思ったね。偏差値50以上(区分50.0以上52.4以下)の学部学科は広島にはひとつもない。一方で私大進学者のうち広島脱出組は全員偏差値50以上の上半分、広島残留組は全員偏差値50未満の下半分ということはあり得ないのだから、県内進学組のうち相当数の学生が大学の選択が限定されるが故に割を食っている事になる。それはちょっと悲しくないか。
河合塾は合格難易度を偏差値2.5刻みでクラス分けしていて、最高は72.5以上の上限なし(東大理科三類、京大医、慶應医)。最低は繰り返しになるけど37.4以下の下限なしで、これは便宜上35.0と表記される。更に補足すると合格難易度とは合格者数と不合格者数が拮抗するゾーンのことで、これが俗に言う「合格可能性50%」「C判定」だと考えればいい。不合格者が極端に少なく合格難易度を算出できない大学の学部学科については、ボーダーフリー、BFと表記される。
高齢化社会の到来もあって、有効求人倍率の高い職種に就くことが期待できる介護・医療系学部はまだ健闘しているように思えるけれど、それ以外の学部は文系だろうと理系だろうと、どこもかしこも偏差値35.0があたりまえ。文部科学省は定員を充足できない学部学科に対しては入学定員の見直しを勧告したらどうなのか。本来大学に来るべきでないバカは、絶対に他人の足を引っ張るからな。
そもそも論として、母集団が正規分布を描いていると仮定すると偏差値37は千人中903位。それで合格可能性が50%もある大学っていったい何なの。仮にも大学と言えば最高学府だろ。だけど広島のバカってのは自分では何の努力もせず、周囲の足をひたすら引っ張る人種だぜ。中学でも高校でも大学でも、広島では全く同じことが起きた。僕はまさか大学で同じ事が起きるとは思ってなかったからさっさと大学を止めた。本当に金と時間の無駄だった。
それにしても親父はどうして広島なんかに飛ばされたのかな。親父は大阪の本社以外に福岡、広島、仙台で執務した経験があって引退後にこう言っていた。最高だったのは仙台、朝が早くて帰りも早い。最悪だったのは広島。朝来ない。ダラダラ残業やって金を稼ぐ。おまけに会社の金で吞みたがる。だってさ。
そりゃFランだろうと中には優秀な奴だっていたよ。全員がバカな訳はないからね。就職の門戸が誰にでも開かれていて、かつ本人の実力を個別にきちんと評価してくれるような社会なら大学がFランだろうが何だろうが問題は起きない。だが、採用という企業の命運を左右するような事項でさえアウトソーシングが進む昨今では、出来合いのエントリーシートに取り敢えず大学名を記入させられる。そしてその先の面接に進めるかどうかは、大学の入り口の難易度で決定される。そんな状況下で、4年間、一体何をどう頑張れと言うのか。エントリーシートと言う名の書類選考は令和の指定校制度と言ってもいいし、その事自体はいまの学生さんにとっては気の毒だとは思う。
自分で書いておいてだんだん暗澹たる気持ちになってきたけど、そもそも大学進学者にとって地元に魅力があると感じているかどうかは、県内で進学したか、県外に進学したかで分かる。リクルート進学総研が各県別に大学進学者の地元残留率を算出しているので、これを引用すると
東京都 68.8%(男65.8/女71.9)
福岡県 65.9%(男63.0/女69.1)
北海道 65.3%(男64.7/女66.0)
宮城県 55.1%(男54.0/女56.3)
広島県 51.0%(男48.5/女58.3)
※2024年実績
広島県の地元残留率が突出して低い。つまり札仙広福の中で最も魅力がないのは広島ですと地元高校生が自白している訳だ。これはもう広島には碌な大学がありません、まして広島で4年間を過ごそうとも思いませんと声高らかに宣言しているようなものだろう。
加えて大学進学者の地元残留率が男女で10%も開いているのは広島だけ。広島の男尊女卑体質、ミソジニー体質がモロに現れている訳で、これが就職のときに現れる訳だ。
大学入学者の人口の流入・流出に関してもデータがある。「18歳人口の減少を踏まえた高等教育機関の規模や地域配置関係資料」という報告書に拠ると
・2017年の広島県は18歳人口が27297人
・大学入学の為に他県に転出した人が-7174人、逆に他県から転入した人が+5726人。差引-1448人の転出超過。
・大学進学者の転入超過は宮城、東京、神奈川、石川、愛知、滋賀、京都、大阪、岡山、福岡の10都府県。
換えて言うと。宮城と福岡は、それぞれ東北・九州の大学進学者の受け皿になっているけれど、有力私大のない広島は中四国の受け皿になっていないという事だ。
更に視点を変えると「広島という街自体に魅力がないから、大学が育たなかった」という見方も出来る。広島の「家に金の裏付けのある学生」は、大学進学時点で県外に脱出するのもその為だ。
広島から大学進学時点で県外に出る学生の、進学先の多くは難関大学だろうけど。問題は、転出した七千人が広島に戻ってこない事。つまり魅力的な就職先が広島には無い事だね。
日本生命基礎研究所の資料によると2023年度の広島県の人口流出数は11409人だそうだ。人口流出を「差分値」だけで捉えても何の意味もないだろうに、と思って数字のネタ元を探したら簡単に見つかった。総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告 2023年(令和5年)結果」という資料がそれで、具体的には、
■転入
男性26,264人 女性18,396人 合計44,660人
■転出
男性32,009人 女性24,060人 合計56,069人
■差引(転出超過)
男性 -5,745人 女性 -5,664人 合計 -11,409人☜
更に同資料には日本人・外国人別の数字があって、日本人に限定した場合は
■転入
男性23,770人 女性16,791人 合計40,561人
■転出
男性27,441人 女性20,516人 合計47,957人
■差引(転出超過)
男性 -3,671人 女性 -3,725人 合計 -7,396人
上記の差分が外国籍の方ね。凄い数だ。広島県から男女2千人ずついなくなったというのは「広島は喰えない街になった」事の強力な傍証だ。
興味深いのはさ。偶然ではあるにせよ、ここでも七千人という数字が出てくることだろ。
時間軸は異なるけど2017年に「大学入学の為に他県に転出した人」が-7174人。2023年に、広島県で転入・転出した日本人の差分値は-7396人。
「広島の大学なんかみっともなくて行けるかボケ」と考える層を全員県内に繋げとめることが出来れば、広島県の人口流出問題は一気に解決できる事になる。
流出を減らすのが無理なら、流入を増やすしかない。だけど現実問題として「かなり困難」だというのは、前述のとおり広島は外国籍の方が我先に逃げ出す街、つまり喰えない街だからだよ。
広島の産業構造は製造業比率が高いという特徴があるけど、これを転換するのには時間が掛かる。依って
・18歳時点で転出→大学卒業時点で広島に帰らない
・18歳時点で転入→大学卒業時点で地元に帰る
・一貫して広島育ち→就職時に広島を出る
という、就職時点の人口流出に拍車がかかることになる。
換えて言うとこれは「優秀なヤツからいなくなる」という極めて根の深い問題で、そうやっていつまでも、広島には都市の「魅力」が形成されない。
☆ ☆ ☆
話はこの新聞記事の話に戻り、広島に住む30代以下の若者(62人)の2人に1人は「広島で働きたい」と思っているらしい。
光の当て方を変えると、残りの2人に1人は、できれば広島県外で働きたいと思っているという事だよね。
広島は前述のとおり支店経済の街でもある。東京と同じ給料を貰えたらウハウハだ。一方で広島生まれで地元の大学を出た人が東京のスピードに付いていける訳がない。
他県で働くなど止める事だね。広島の同調圧力に飼い慣らされた人間が、わざわざ他県で少数派に回る理由は何もないだろう。いや正味な話。
ただ、このアンケートの対象は「男性に限ってはいない」事に注意が必要だろうとは思う。
女性が就職の時点で広島を出るのはさ。そもそも魅力的な就職先が広島に無いからだろうけど、大学進学の際に男の兄弟を優先されてしまった恨みつらみがあるんじゃないの。
つまりこれは、大学さえ自由に選べず、親から人生をああでもないこうでもないと適当な理由で雁字搦めにされたその挙句、不戦敗で散った女性たちの反乱なのかも知れない。誰だってフォール負けなら納得もするだろうけども。
広島の私立大学をさっさと止めて東京の私立大学に入り直した僕からしても、性差の問題は大きいと思う。気が向いたら大学の固有名詞を出すけど、僕は鬼親から「そんな(東京の)大学、賛成しかねる」と鼻で笑われて広島に残った。そして三ヶ月で止めた。
あの時は心の底から自分の親に殺意を覚えたけど、これが女性なら、そもそも県外の大学を受験する事さえ許容されないだろう。
僕はニュース動画で、広島県外での就職を希望する、広島にある女子大の学生さんのインタビューを見た。彼女は魅力のある仕事に就きたい、県外で働きたいという趣旨のことを言っていた。
だけどその為には、競争原理を勝ち抜かないといけないよね。率直に言うけれど、競争を有利に運ぶためには、その県外の会社に認知されている大学である必要がある。
そしてその上で。それがもし東京の会社なら。お茶の水女子大、津田塾大、東京女子大、日本女子大といった知名度の高い女子大の学生さんと一対一の椅子取りゲームに勝たないといけないという事だから、これは率直に言って相当エグいわな。しかも雇用機会は男女均等な訳で。早慶、上智ICU、明青立法中あたりの学生さんが参戦してくる業界に、広島の私立大学生の勝ち目があるとはとても思われない。だって相当鍛えられてる上にプレゼン能力が高いもの。
僕は自信があったよ。他大学の学生には絶対に名前負けしないという自信が。だけど当時、もしエントリーシートなんてものがあったら、結果はどうなっていたか判らない。(こんな世の中にしてごめんなさいという気持ちはある。責任の一端は感じております。申し訳ないです)
僕の友人は、大学入試に失敗したお嬢さんの浪人を許容しなかった。僕はその時の彼の言葉を、はっきり覚えている。「いや、無理させない。女の子だから」。
そういうの「ミソジニー」って言うんじゃねえのかと言いかけて、僕は言葉を呑んだよね。
彼女は三年後就職活動に失敗し、事態を理解しようとしない父親の前で号泣することになる。
人間は無理すべき時に無理をしないといけない事もある。大学受験はその最たるものだが、それがもし、学歴と言うものの価値を認めない親の独断で曲げられたらどうなるのか。僕は、彼女は一生、父親を恨むと思う。
でもな。これが広島ならいくらでもいるよな。「大学は絶対に自宅から通え。女子大しか許さん」という金の裏付けのない鬼親。
それが広島スタンダードだろ。
もし自分の娘が就職活動に臨んだ時に、エントリーシートをいくら提出しようと企業にリジェクトされ続け、面接にさえ進めない事態になったら。親は子に、土下座して謝るのだろうか。
運が悪かったよね。僕もあなたも。
僕は中学から東京に行きたかったね。そうすりゃ人生変わってたと思う。あなたがもし東京に産まれたのなら。そして大学進学を望んだとしたら。必ず何とかなっただろう。そして望んだとおりの就職も出来ただろう。
2017年の東京の大学進学率は72.8%、対する広島は54.9%だ。
東京の高校生、特に女性が「家から通える大学ならいいよ」と親から言われたとしても。「はい分かりましたあ」で終わりじゃんね。
一方の広島。空港も大学も田舎の山の中に追い遣って、一体何が楽しいのだろう。「広島」大学でさえ、広島市内から通う事は難しいだろうに。
加えてだ。東広島あたりじゃバイトしてる人も広大生、客も広大生。そんな閉鎖的な空間に刺激がある筈もない。
やっぱり大学は街中にないとダメだと今頃気がついたのか、中央大も広大も何故か法学部だけ都心に戻すらしい。だが最初から田舎に引き籠らなければ大学の難易度も少しは違っただろう。
本当に残念でしたね。
広島で生まれて、育って、働いて。
それで幸せなら充分だし羨ましいと思う。東京で暮らす事は一生競争原理に晒されて生きる事なのだから。広商や県工に行って18歳で世の中に出て、みんなに可愛がられながらコツコツと少しずつ実力をつける。実は、そういう生き方がいちばん手堅いんだろうなと思う。広島ではね。
その一方で。
広島で幸せを求めようと思うのなら。「人生は程々がいちばん」という思考にならざるを得ない。何とか喰えるかもしれない。だが、それ以上は恐らく望めない。大きな成功を目指すのなら、人生、一か八か覇道を行くしかない。
広島の閉塞感は、実はそこに起因しているのさ。
新聞社も行政も「広島がイケてない」と思うのなら。広島の都市計画は完全に失敗だったことを、そして広島は「田舎」であることを認めることから始めることだ。
さて最後に。2025年(令和7年)1月31日に公表された「住民基本台帳人口移動報告 2024年(令和6年)結果」においても。やっぱり広島県の社会減が日本一。
つまり4年連続日本一。
一体どうすりゃいいのかな・・。
<日本人及び外国人>
■転入
男性25,554人 女性17,835人 合計43,389人
■転出
男性30,643人 女性23,457人 合計54,100人
■差引(転出超過)
男性-5,089人 女性-5,622人 合計-10,711人
<日本人>
■転入
男性23,172人 女性16,246人 合計39,418人
■転出
男性26,486人 女性20,150人 合計46,636人
■差引(転出超過)
男性-3,314人 女性-3,904人 合計-7,218人
Profoto A10を修理に出した話
今回は結論を先に列記します。
・修理内容はホットシュー端子部の交換です。
・修理金額は15,070円(税込)
・Profotoの修理はヨドバシカメラの持込修理をお勧めします。店舗は年中無休で営業時間も長いです(9:30〜22:00)。但し、週末に持込した場合でも取次は週明けとの事で修理が早く仕上がる訳ではありませんので念の為。
・僕の場合、納期は見積回答後ちょうど2週間。持込から引取まで約3週間(5/17土→6/6金)でした。
・修理会社は GSS イストテクニカルサービスさんです。Profotoの修理技術認定店との事です。
・修理代金にヨドバシゴールドポイントが付いたのには驚きました。
・端子保護用のプラスチックカバーは、フラッシュ側もカメラボディー側も、常時装着していました。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
最初に言っとくけど。
こんなの僕もProfotoも悪くない。フラッシュの接点を内臓HDDのコネクタみたいにしてどうするのさ、この現場知らず。取り付け・取り外しが恒常的に発生する製品の接点を自分達の趣味でこんな形状にする
ソニーが全部悪い💢
だって、いつもと同じようにフラッシュをカメラボディに装着しただけだもの。それが何故、こんな簡単に壊れるんだ。
先月のこと。α7CRにProfoto A10を付けて撮影していたらカメラのモニター表示が突然おかしくなった。症状は、
・モニター表示が暗く、露出不足に見える。
・シャッターを切れば発光はする。
・カメラは「こんな社外品知りましぇん、僕は知りましぇん」といった内容のエラーメッセージを吐いた。

◾️注:フラッシュの装着状態によって簡単にエラーが再現します。「またかよ」という感じです。接点は通常フラッシュの底部に設置する訳で、耐久性無視のマヌケ設計としか思えないです。
レリーズと同期して発光はするのだから、カメラ側がフラッシュを完全に認識しなくなった訳ではないのだろう。必要な情報が装置間で正しくやり取り出来なくなったというような、一部機能の喪失だと思う。
依って、故障は故障なんだけど、ミラーレスって賢いなとは思った。現場ではマニュアルモード、ISO100、SS 1/250s 絞りf/4に固定して撮影していたから、カメラ側は「露出不足ですよ」という「メッセージ」を発行したとも言える訳で。
換えて言うと、カメラ本体は「フラッシュを認識した場合には、適正露出の絵をモニターに映し出すようになっている」という事だ。
光学ファインダー機ではこうはいかないから、これはミラーレス機のストロングポイントなのかもしれない。この点、よく出来てはいると思う。
それにしても。
以前、僕はニコンを使っていた。SB-700にせよSB-500にせよ「ホットシュー端子の保護用カバー」なんてものがあっただろうか。意識したことがないから覚えていないだけなのだが、多分無かったと思う。
つまり、接点にカバーをつけて保管しなくてはならないような作り自体が、ソニーお馴染みのデザインコンシャス、機能優先、耐久性無視の強力な傍証で、いつか故障に遭遇するだろうなと僕は思っていた。

◾️α7CRのアクセサリーシュー部。華奢な接点ですね。丸い金属部品は一応電気接点かと。
嫌な予感は概して当たる。僕は「あー遂にやらかしたかー」と思いながらフラッシュをカメラ本体から取り外した。接点をよく見ると、向かって右側から3番目の接点が思い切り曲がっていた(写真を撮っておけば良かったですね)。

◾️修理完了後の写真。ご参考迄。
指の爪で強引に力を加えてみたら、一応は正しく装置認識するようになった。だがそんな宙ぶらりんな状態では怖くて使えない。すぐに修理する事を決めて、撮影終わりにヨドバシカメラに直行した。
何度でも言うけど、こんなおかしな形状のホットシュー端子を採用しているのはソニーだけである事は確実だ。
ソニー機は動画用のマイクも同じ接点を使って装着することを前提にしているから、わざわざ「マルチインターフェースシュー」と呼称している。
僕はソニーのフラッシュを買った時に「これはいつか壊れるな」と思った。だから意外感は全くなかったね。もちろん、滅茶苦茶腹は立ったけれども。
フラッシュの利用頻度は月に一回程度だけど、無ければ困る。撮影の歩留まりが全く違うからね。
僕は一応バックアップ用に純正のHVL-F45RMを持ってるけど、使ったことがない。だってガイドナンバー45とか嘘八百で、こんなパチもん気分が悪くて使いたくないもの。
購入後、ソニーの詭弁に気がついた時は腰を抜かしたね。「照射角105mm設定時 ISO100•m」の時に「GN45」とかお前正気か?普通に考えたら照射角は35mmか50mmだろ。世界中探しても、フラッシュ撮影の時だけわざわざ中望遠付ける低脳がいるかっ!
今回は社外品フラッシュ側の不具合だけど、純正にしてみたところで同じ不具合は起きる訳だ。あんな形状の接点、簡単に曲がるに決まってらあ。
だから僕は純正の同等品に買い直そうとは微塵も思わなかった。具体的にはHVL-F60RM2かな。値段はProfotoの半値以下だけど嫌だね。

◾️左:Profoto A10 右:HVL-F45RM
ヘッドの造形、照射角設定の自由度、バッテリーオペレーション、リサイクルタイム。Profotoを一度でも使ったら全員「純正無理」ってなると思う。
バッテリーはポケットにリザーブを忍ばせておいて、そろそろ充電が切れそうだなと思ったらサラッと充電式電池をユニット交換すればいい。クールだよ。単3のエネループを4本、電極の向きを確認しながら装着するのは結構手間が掛かるし、現場ではやりたくないに決まってるだろ。
まあ、Godoxと何が違うんだと問われても困るけどね。率直に言うけどあれは模倣だし、オリジナルには敬意を払うべきだと思う。ちなみに僕の三脚はジッツオで雲台はアルカスイスです。ミーハーですみません。はい。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
以下ご参考。
経緯について
①5月17日(土)故障発覚、ヨドバシに修理持込。
②5月23日(金)ショートメールで見積回答連絡。
→すぐに進行依頼しました。
③6月5日(木)ショートメールで修理品発送連絡。
④6月6日(金)修理品店舗到着。同日に受領。
・修理所要日数は20日間。土日を除く営業日ベースで15日間でした。
・修理をキャンセルする場合、工数見積費用の3,850円を支払する必要があります。
・いくら掛かっても進行、指定金額以下なら進行、という依頼も出来ると思います。
・修理票に記載されていた受付日は5月22日(木)、完成日は6月3日(火)でした。
・真水の修理所要期間は12日間ですので、配送等に時間が掛かっているという見方もできます。依って、最速で修理したいという方はGSS イストテクニカルサービスさんに直接コンタクトするのが良いでしょう。会社所在地は東京都北区 東田端です。
・修理料金の内訳は以下のとおりです。
修理区分:軽修理
修理技術料:5,300円
部品代:8,400円
→合計13,700円(税込15,070円)
僕は一度ソニーのサービスセンターにカメラ本体の修理を依頼した事があるのですが、技術料だけで2万円くらい掛かりました。従い、今回の修理は率直に言って安いと思いましたね。もしこれがソニー純正フラッシュだったらどうなっていたんですかねえ。
機材は壊れないに越した事はありません。修理は牛丼で「早い、安い、上手い」に越した事はありません。今回、壊れたのがソニー純正フラッシュなら「純正なんかアホらしくて二度と買うかボケ」と思ったことでしょう。

◾️純正装着してもこの体たらく。何なの。
ソニー機はこういうところが駄目駄目で、物理的な接点の嵌合が甘いのでしょうね。メッセージはフラッシュを装着しなおしたら消えましたが、再発すると思います。
ソニーの名誉の為に言っておくと、純正フラッシュはバウンス撮影が出来ないような環境下で、1発ポン焚きをするのには良いかも知れません。カメラ本体に色温度情報のフィードバックが掛かっているのだと思いますが、ホワイトバランスが正確で後処理不要です。依って「現像はしません、全てjpegの撮って出しです」という方は、純正フラッシュの使用も許容できるでしょう。現場で壊れなければいいですが(棒読)。
一方で、ソニーのライティングシステムは、はっきり言ってバカなんでそれなりに気を付けた方がいいです。撮影モードAUTO、かつISO AUTO設定で純正フラッシュをポン焚きしたら、難しいことを考えなくてもカメラ側が全部やってくれると思うでしょ、普通は。でもソニー機はISO AUTOの上限設定値(僕の場合12800)までガンガンISOを上げてからフラッシュを発光させます。つまり全カット露出オーバーになります。何?強制発光設定を解除しろって?いや、だって主要被写体に光を回したいからこそ、強制発光設定でフラッシュを焚いてる訳でしょ。何故「自社フラッシュを検知したらISOを基底感度に設定する」くらいの事が出来ないんですか。ま、バカは治らないので抵抗しても仕方ない。ソニー機でフラッシュ撮影をする際は「必ずISO設定値を自分で任意の感度に固定するしかない」というのがこの項の結論です。
だったら最初からProfoto買う方が幸せになれると思うでしょ。はい、その通りです。
最後にもう一言。Profotoの修理全般が安いのかと問われると何とも言えないです。落下等による損壊に関し、修理報告を上げていらっしゃる方の報告を拝見すると、多額の修理費用が掛かるケースもあるようです。お互い、機材は大事に使いましょうね。是非。
3週間の対策でLDLコレステロールを48mg/dL下げた話
まずは指標数値の推移から。
10/25 12/27 2/28 4/21
体重 72.1 73.3 68.4 67.2
γ-GTP 27 67 30 30
中性脂肪 84 132 93 76
LDL-C 141 137 151 103 ←🈁(-48)
尿酸 6.4 7.7 6.4 6.7

僕は毎月かかりつけ医の診察を受けている。自分の健康のことでさえ誰かにフォローされないと何もやらないズボラな性格なので、まあ仕方ないよね。受診は採血→結果面接→採血→結果面接の繰り返し。つまり2ヶ月に一度採血して、翌月に結果の申し渡しを受けているという事だ。併せて、毎回診察室血圧を計測し、尿酸値を下げる薬を処方して貰っている。痛風持ちはあれ喰うなこれ喰うなといろいろ面倒だよ。
人間の身体は正直だなあと思うのは、昨年10月から12月に掛けての検査数値の変化だ。
僕は毎年10月に人間ドックを受診している。結果は受診医療機関から勤務先にフィードバックされる仕組みになっていて、ここで下手を打つと産業医の指導で出勤停止になる事もあるから侮れない。つまり、僕は自分の努力でどうにでもなる事項については、毎年10月にスコアが最良になるよう自身の健康対策をしなくてはいけない。ま、逆に言うと、人間ドックを受診してしまえば後は野となれ山となれだ。
そんな訳で。10月に人間ドックを受診してから喜び勇んで晩酌を解禁したところ、あっという間にγ-GTPと中性脂肪のスコアが悪化した。おまけに尿酸値は真面目に薬を飲んでいるのに上限値の7.0を突破した。はあ…
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
僕が毎月地元の医院に通って定期的に採血して健康状態をモニターするようになった切掛は2018年の人間ドックで肝機能の数値に異常が出たことだった。それも派手に。何の自覚症状もないのにγ-GTPが爆上がりして193になったのだが、問診を担当した医師はこう言った。「通常の飲酒ではこうはなりません。これ以上状況を悪化させないようにする事しか出来ないですね」と。
その時、率直に言って「人生終わった」と思った。肝機能の異常は一生向き合わないといけない疾患だし、最悪の場合、命を落とすかも知れない。
ラグビーの平尾誠二さん、柔道の斎藤仁さん、俳優の川島なお美さん。皆さん僕と同世代なのだけれど、お三方に共通しているのは、みんな肝疾患でこの世を去ってしまったということだ。 まだまだ活躍出来た筈なのに、恐らくは僕のように唐突に検査結果に異常が出たのだろう。誰だって「え、なんで」と思うだろうし、怖かったろうなとも思う。
僕と同期入社で懇意にしていたひとは旧帝大の院卒だった。健康でありさえすればそれなりの職位まで上がっただろうが、肝機能の異常を指摘されながら酒が止められず落命した。彼が飼っていた4匹の猫は、一体どうしただろう。
僕はその場で医師に確認した。「どのくらいの期間を置けば肝機能のスコアに変化が現れますか」と。医師は「4週間ですね」と即答した。
唯一思い当たるのは、僕はその頃血圧対策としてかなり強めのダイエットをしていた事だ。僕の血圧は体重が70kgを切ったあたりから正常化し始めるのだが、とにかく太る体質だから定期的なダイエットが欠かせない。だが、その日からはウォーキングもサプリメントもヘルシア緑茶も全部止めて安静に努めた。
この時ばかりは流石にかなり落ち込んだ。それでも人生は続くのだからきちんと対処するしかないけれど、平常心を保つことは難しかった。

僕は年に数回、育った街である広島に遊びに行くことを楽しみにしている。「これが最後かも知れんなあ」と思いながら、気晴らしの為に広島に行った。 突然海が見たくなって江田島に渡ったりもした。
島の渡船場には無人の売店があって、そこで綺麗なお花が売られていた。でも花を愛でる元気は無くて買う事はしなかったね。なんだか仏前の供花のように思えたからだ。結局、何の気晴らしにもならなかった。

つまり、そのくらい僕の精神状態に余裕は無かったという事だ。
人間ドックから医師の言う「4週間」が経過して、僕は久しぶりにかかりつけ医に行った。最初に通院したのは2014年の6月。拡張期血圧が100を突破して「これは何なんだ」と思って診察を受けたところ「何が何でもダイエットしてください、薬は出しません」と厳命されたことを今もはっきり覚えている。
ま、要するに。僕はまだ生きていて、毎月この医院を受診する「上顧客」となった訳だ。医師にドックの検査結果を見せて採血のやり直しを依頼したところ、医師は大慌てで地元の中核病院に検査予約の手配をしていた。
まじかよ… 人間ドックでもエコーは撮ったんだけど、また撮らないと駄目なのか。
でもまあ、仕方ないよね。
再検査当日。僕はやたら薄暗い病院の地階で肝臓のエコー検査を受けた。技師さんは抜群に可愛い女性だった。と言うか、お!みたいなレベルの美人さんだった。ここは天国か?それともメンズエス・・いえ何でもないです。
こんなところで人生の運を使い果たしてもなあと思っていたところ「肝臓に外形上の異常はありません」との御神託。本当かよ。異常は一過性のものである可能性が出てきて、少し元気が出た。
その日は検査が終わってから仕事に行った。まあ我ながらどうかしていると思う。社畜だよ、社畜。こんな日は仕事なんかせずに休んじまえばいいのに、それが出来ない性格だからストレスも溜まる訳だ。
それから数日後。今度は血液検査の結果が上がってきた。恐る恐る医師に結果を聞いてみると開口一番「正常化しています」。上限値ギリギリではあるけれど、γ-GTPの数値は77まで改善していた。「俺、生きてるわ」と実感した。嬉しかった。
検査医に対する最大の不満。具体的には人間ドックが何の役にも立たない事への不満なのだが、俺たちはベルトコンベアーの上を流れていく工業製品か何かなのか。奴等は所詮、数字しか見ることの出来ない役立たずなのか。悔しかったら一度くらいきちんと問診して、異常の理由を突き止めてみやがれ。近々、AIが程度の悪い医師を駆逐するとは思うが、現状では検査数値の異常は、自分でその大元の理由を類推するしかない。
従ってあくまでも僕の仮説だが。人間の身体は飢餓を検知すると、肝臓が体脂肪の回収に走るらしい。僕の場合は強めのウォーキングと食事制限他で脂肪肝になったのではないかと思う。(注:非アルコール性脂肪肝の中にはNASHと呼ばれるタイプのものがあり、放置すると肝臓に深刻なダメージを与えます。人間ドックで肝機能の異常を指摘されたら必ず経過観察するか、精密検査を受けて原因究明に努めることを勧めます。私は7年経った今でもかかりつけ医で経過観察しています)
この出来事を境にサプリメントは全部止めた。トクホは一切信じるのを止めた。酒も泥酔するまで呑むことは控えるようになった。同時に、健康管理をするのなら理詰めでやらないとどうしようもないと思うようになった。 以後、大袈裟に言うと「仮説を立てて人体実験をしている」感覚がある。ま、あまり楽しくはない実験だけどね。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
前説おわり。ここからが今回の顛末記だ。
繰り返しになるが、僕は毎月通院している。かかりつけ医はイケメンなのに気立ては三枚目の面白いお医者さんで、3/28に2月の採血結果の説明を受けた。
先生は血圧の数値そのものはあまり重視していないように思えるのだが、その一方で「悪玉コレステロール」の値は厳しくモニターしている。先生からは「基準値を超えたら投薬開始します」と毎回キツく警告されていて、前回の検査では、またその閾値を超えてしまったのだ。
LDLコレステロールの基準値は上限が139。最近ずっとこの数値の近辺をウロウロしていたのだが、2/28の採血の結果は151。遂に基準値を大幅に超えてしまったと。 はああああああ…
それから次の診察予約日まで約3週間あったんだけど、さて、どうしたもんかと思ったね。無条件降伏するのか、徹底抗戦するのか。
追い討ちを掛けるようにイケメン先生は「どうします?」と聞いてきた。実は、僕がこのかかりつけ医を信頼している理由はこのスタンスにある。すぐにやらなければいけない事に対するジャッジは早いし、半強制的でもある。一方で、相談しながら進めればいい事に関しては、僕の意思を尊重してくれる。
その場では「投薬すればパーンと下がりますよ」と言われたのだが、その言葉の真意はおそらく「貴方がきちんと健康管理出来ることは知っています。ですがギブアップするのもアリですよ」という意味なのだろう。
スタチン系の薬が脂質異常に対して抜群の効能を示すことは有名で、第一三共のメバロチンは世界で最も売れた薬と言われている。これは日本が世界に誇るイノベーションのひとつであって「医師の診断を受けて、適切な時期に脂質異常を改善する薬を投薬開始すればいい」と割り切るのが選択肢のひとつ。(ちなみに僕は、自己判断で紅麹サプリのような胡散臭いものに頼るつもりは無かったです。過去にサプリメントに頼る事を一切止めた事は本当に良かったと思っています。先のコレステロール対策サプリメントによる健康被害問題でお亡くなりになられた方には心からお悔やみを申し上げます。僕は、類似商品がサプリメント市場から未だに無くならない事には怒りすら覚えます)。
そしてもうひとつ。 それは「いや待て、僕はもう少し抗うべきではないのか」という事だ。 もし薬に頼り始めたら、僕はこの先何もしなくなるだろう。ウォーキングも体重管理もやめて、毎日外食。食生活の改善など考えもせず毎日毎日酒飲んでウァー。まるで赤坂あたりで集団で飲んだくれている自民党の代議士のようだが、品格というものを無くしたら人間はお仕舞いだ。健康管理も立ち振る舞いも、とにかく自分を律することだ。
もしここで薬に頼ることを選択したら。 次は、降圧剤に頼り始めるのだろうなと思う。体重が70kgを超えたあたりから血圧に異常が出ることは経験則として分かっている。 現時点で既に尿酸値を下げる薬と肋間神経痛の薬を飲んでいるんだし、この先一体何種類の薬を飲めばいいのかという話になる。
どちらを選ぶべきなのだろうか。
僕は昨年の大晦日から、人生で十数回目のダイエットを始めた。大晦日の体重は74.9kg、流石に血圧がヤバいとの思いからだ。2月末日の体重は68.4kg、ここまで来れば血圧は正常化する筈だ。
この間、酒を控えたこともあってγ-GTPと中性脂肪のスコアはかなり改善している。アルコールを過剰摂取すると肝臓で中性脂肪の合成が促進されるそうで、肝機能と中性脂肪の値を改善したければ酒を止めさえすればいい。これはすごく分かり易いというか、努力に対する結果がちゃんと付いてきた例だと思う。
それでは「何故ダイエットしてもLDLコレステロールの値が悪化したのか」という話になる。 今回はここにフォーカスして仮説を立てなければどうしようも無いのだが、思い当たることはひとつしかない。
「外食の内容」だ。
僕は運動の強度を上げて体重を毎日必ず減少させようとする時には、仕事が終わると同時に外に出る事にしている。自宅では眠気が来て気合いが萎えてしまったり、撮り溜めたビデオを見始めたりするので、とにかく誘惑を遮断して運動を開始しようというのがその理由だ。
加えて、炭水化物を摂取すると、仕事で溜まった疲労感がかなり軽くなる。これらふたつの合わせ技で「一度家を出る。外食して、そのままウォーキングに突入する」というのが僕の考えるダイエット持続法で、何事にも工夫は必要だ。
駄菓子菓子。その一方で、僕の住んでいるところで外食と言えば、松屋、松のや、ファミレス、トンカツ屋、ラーメン屋、蕎麦屋、居酒屋だ。少し歩けば定食屋がないこともないけど、丼ものとフライものがとにかく多い。
僕は自宅近隣に焼き魚や、魚の煮付けを食べさせてくれる定食屋の存在を知らない。そんな訳で、僕はいつも牛丼やメンチカツ、肉そばといった「肉モノ」ばかり食べている。
対策の立案に際し、今回はAI先生に質問を投げてみた。すると回答はこうだった。以下引用。
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ダイエットをしてもLDLコレステロール値が悪化する場合、いくつかの原因が考えられます。まず、ダイエットで体重を減らした場合、LDLコレステロール値が上昇することがあります。これは、ダイエットで摂取エネルギーを制限する際に、体内で脂質の代謝が変化し、LDLコレステロールの合成が増加するためです。また、ダイエットの際に、飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む食品を摂取した場合も、LDLコレステロール値が上昇する可能性があります。
◾️LDLコレステロール値が悪化する主な要因
①ダイエットによる脂質代謝の変化
・ダイエットで体重を減らすと、体内の脂質代謝が変化し、LDLコレステロールの合成が増加することがあります。
・糖質制限ダイエットなど、特定のダイエット方法によっては、LDLコレステロール値が上昇する可能性があります。
②飽和脂肪酸やコレステロールの過剰摂取
・ダイエットの際に、肉の脂身やバターなどの飽和脂肪酸を多く含む食品を摂取した場合、LDLコレステロール値が上昇する可能性があります。
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うわー! AI先生マジっすかー!
γ-GTPの次はLDLコレステロールか。自分の身体なのに本当に制御不能やな…
何も対策せず、自堕落に肉モノだけ食べまくったら、そりゃ健康管理上のスコアは悪化すると思う。だけど、ダイエットしてもLDLコレステロールが増えることがあるのか。
俺は今回、何をどう対策すりゃいいんだ・・・。

半ベソになりながら行きつけの沖縄そばのお店に行って、酒を飲みながら店主のお兄さんにこの話をしたところ、速攻でこう言われた。
「脂質異常ですか?僕もそうですよ。僕は絶対に肉を食べませんね」
恐るべし。意識の高いひとはいるものなんだなあ。
市井の市民にも聖人はいるのと同じ事だ。これには勇気を貰ったね。 まだ出来ることはある、次の採血まで3週間あるし諦めるのは早いと考えを改める事にした。
僕はこの時点で体重の目標値はクリアしていた。血圧の対策としては合格点なので、毎日の運動に使う時間を減らして自炊を始めようと思い立った。
取り敢えず、遊び半分で5万円出して炊飯器を買い換えたんだけどね。最近の炊飯器半端ないって。アイツ半端ないって!これまで食べていたものは何だったのかというレベル。ご飯ってこんなに美味しいのかと本当に驚いた。以後、金はないけど米屋でコシヒカリを買ってきて、自分で炊いて食べている。
加えて、思い付くまま食生活の改善として対策したことを列記するけど、趣旨はシンプルに脂質とトランス脂肪酸の摂取を控えようという事だね。 ま、素人対策だから大ハズレなものもあるんだろうけどさ。
◾️朝食:ロールパン→りんごと納豆
◾️昼食:カップ麺→そばorパスタ
◾️夕食:外食、肉料理、油もの禁止 ドレッシングはノンオイル限定
◾️間食:
・歌舞伎揚→まがりせんべい
・クッキー→餅菓子
・ショートケーキ→もみまん
・微糖系缶コーヒー→ブラックか緑茶
◾️居酒屋:週に一度だけ許容、宅飲み原則禁止
ま、正直に言うと「たった3週間の対策で体質が変わる訳がないよな」と思っていたけどね。
僕は負け犬の空笑いを浮かべながら4/21に通院して採血した。半分諦めの気持ちで5/23に検査結果を聞きに行ったのだけれど、なななな何とLDLコレステロールのスコアが151から103に下がっていると医者が言うじゃないの。これには本当に驚いた。
ダイエットによる体重の適正化がロケットの1段目。この間一時的にスコアは悪化したが、3週間の食生活の見直しがロケットの2段目。これら二段ロケットの相乗効果でLDLコレステロールの値が正常化したのだろう。とにもかくにも、これまで何をどうやっても改善しなかったスコアが食生活の見直しで48改善したというのは望外の結果で、狂喜乱舞した。
以下、所感。
肝臓って本当に気難しいヤツだよな。こっちは真面目に健康対策してるのにγ-GTPが上がってみたり、LDLコレステロールが上がってみたり。一体何が不満なんだ。一度ならずと二度までもこっちの意図とは真逆の経過を辿りやがった。
それが疾患によるものだという仮説を立てると僕みたいに自作自演のカラ騒ぎになる訳でさ。「対策中には一時的に異常値が出る事もある」という前提で、経過をきちんと管理しながら改善を図ることが必要なのは改めて理解できた。健康対策は難しいし、結局はかかりつけ医とよく相談しながら進めるしかないよね。
ただ、僕のように定期的に経過観察のための通院をしている人の中には、一時的な異常値が出たことを切欠にして投薬開始したという方も大勢いると思う。だが、薬は一度投薬開始すると自己判断では止められないものが多いから悩ましい。
医師の立場からしてみたら、二重の意味で投薬を継続するだろうなとは思う。ひとつは患者のため。投薬に有意に効果があるのならそれを止める理由が無い。そしてもうひとつは、自身の医療法人の経営安定のため。患者が薬を受け取る為には医師の処方箋が必要だが、僕は薬を2ヶ月分処方して貰ったことは一度も無い。
信頼しているイケメン先生と言えど、今回のLDLコレステロールの異常に関しては甲状腺機能の異常を疑っていた。結局、真犯人はダイエットと質の悪い食生活(外食)だった訳だけど、これが出来の悪い医者なら速攻で投薬開始して患者を薬漬けにするだろう。
ま、つまるところ。
健康対策に関しては「どうせ何をやってもダメだろう」なんて思わないことが大事だね。人生、どんな小さな事でも仮説を立ててやってみることさ。まあ、健康対策を一生継続するのかと思うとかなり気が滅入るのも一面の真実ではあるけれども。
それにしても、今回のダイエットでγ-GTPに異常が出なかったのは何故なんだろう。これも想像の域を出ないのだけれど、真面目にダイエットしていれば、必ず肝臓は体脂肪の回収に入る訳で、その際に「脂肪を燃焼させる」ことを効能としている飲料を使うことは百害あって一利無しなのではないか。
メーカー関係者からぐちゃぐちゃ横槍入れられても鬱陶しいけど、カ●キン茶だのヘ●シア緑茶だのが本当に効くなら茶どころ静岡に心臓病患者はいねえだろ。もし君が「トクホ飲んだら何もせずに痩せるかも」と思うなら飲めばいいんじゃねとしか言えない。
僕と同じ悩みを抱えているひとの中には、遺伝性の疾患に起因する異常で運動ではどうしようもないという方もいるだろう。だから対策に関しては人それぞれであって一概には言えない。だけど、もし仮説を立てて健康対策をやってみて、それが上手く言ったら楽しいよ。
だって、運動と食生活の改善に法外な金はかからないもの。
自堕落な生活態度で自分の健康を進んで破壊するのはバカのすることさ。結局泣きを見るのは自分だと、最後にそれだけは強調しておく。僕は結局、不健康なことをするために健康でいたいんだよ。
最後にもうひとこと。もし貴方が投薬の必要がない若い方なら、医者にかかる理由自体がないですよね。 そこでと言っては何ですが、私は「医者に行く代わりに、定期的に献血すること」を強くお勧めします。献血をすると血液の分析結果を教えてくれるので、健康管理になります。それと同時に社会貢献にもなりますのでね。何卒、宜しくお願い致します。
◾️まとめ(実際にやったこと)
①目標体重を設定する。
②毎日体重計に乗る。
③目標体重に達するまで毎日歩く。
④目標体重に到達したら食生活を見直す。
必ず成果は出ると思います。持続しさえすれば。
細客がセパレートアンプに手を出した話⑦
そうこうしているうちに1ヶ月経過。
A-48の入荷連絡を頂き、お店まで代金の支払に行ってきました。下取に出すプリメインアンプの見積金額を出して頂き、その差額を支払すればオーケーという太っ腹。試聴の時に加えまたも破格の厚遇、こんな一見の細客にいいんですか?
いや、だって、私が製品名を間違えて記憶していたらどうするんですか。どこか壊れていないかと買取前にチェックはしないのでしょうか。
これが写真レンズの下取交換なら、レンズの黴とか、ヘリコイドラバーの劣化とか、それこそ鵜の目鷹の目で現物をチェックする訳です。その結果としてWEB上に掲載されている買取金額とは似ても似つかない金額まで叩かれることはザラにある訳で。
いいんですか本当に?
かなり戸惑いはしたものの、箱やら取説やら保管できるものは全部保管しておいて良かったです。外観に目立った傷はないですし。
何か「やらかし」があれば担当営業さんにご迷惑をお掛けする事になる訳で、そうなったら次の機会は他を当たるしかなくなります、従い私としては、購入と買取の契約を分けてくれる方が気は楽でした。
ちなみに。
今回手放したプリメインアンプの利用料に相当する金額を計算したら、109,000円ポッキリ。ちょうど5年使ったので1年あたり21,800円でレンタルした事になる訳で、ちょっと申し訳ないです。
と言うのは、私は販売促進も行き過ぎは良くないと思うのです。アキュフェーズは正規特約店の数が少ないですが、価格拘束があれだけキツイと東京地区の販売店は下取優遇で差別化するしかなくなりますね。本稿④節で記載したAKB地区などは、客から見たお店の選別原理が今以上に激しくなると思いますし、アキュフェーズが販売店にとって「扱いにくいメーカー」という事にならなければいいですね。
ま、私は偏狭なのでこれを機会にTに天罰が下る事を期待していますが。
☆ ☆ ☆
代金支払の4日後にA-48をお迎えしました。
今回は引取とセットですのでお店の方に拙宅までお越し頂いたのですが、ちゃちゃっと箱を開封してあっという間にセッティング完了。おおおー。「これでどれだけ変わるか楽しみですね」とのお言葉。期待が膨らみます。
お店の方をお見送りしてからケーブルを繋ぎ込んで、試聴に使った曲を掛けて見たところ…
おかしくないか?
もっさり感がパネエ(汗)
やっちまったか?(滝汗)
いやそんな筈はねえだろ、試聴もしたんだし。これはエージングしないと評価が定まらないと気持ちを切り替えて、CDを掛けたまま食事に行きました。帰宅したのは通電開始から4時間後くらいです。
化けてました。僅かに纏っていた薄いベールのようなものが取れました。明瞭度の高い音で、美音です。
女性ヴォーカルは少し硬いかな。ですが、いずれ落ち着くと思います。暫くの間エージングは必要でしょうが、その後、毎日アイドリングが必須なのかどうかは現時点では判りません。
あ、このアンプ(C-2300/A-48)いいなと思ったのは、松岡直也のタッチ・ザ・ニューヨーク・ピンクを聴いた時でした。ウッドブロックというか木魚というか、目立たない打楽器の音が左チャネル側でずっと存在を主張していて「あ、これ、曲の最初から最後までこうだったのか」と気が付いたのです。
音の分離に関してはコントロールアンプの性能に依存するでしょうが、スピーカーをドライブするのはパワーアンプな訳で、4349が仕事をするかどうかはこいつの出来次第。作曲者、演奏者の意図のようなものがCD購入から30年以上経ってから分かったのは、ある意味で感慨深かったです。
最後に告白しますが私はアキュフェーズ的な無個性は嫌いでした。A-48を聴くまではね。恐らくE-800を選んだ人もそうだと思います。ああ俺はこっちだわ、ってね。
それでは最後にA-48についても第一印象を記載して終わりにします。
◾️デザインについて
・格好いいです。C-2300は機能的でよく纏まっていますが、A-48はエモーショナルでさえあると思います。
・何と言っても目を引くのはアナログメーターですね。C-2300にはdB表示がありデジタル表示ですから両者は一見対照的です。カテゴリーの違う製品ではありますが、視覚的な観点では断然こちらの纏め方が好みです。
・ヒートシンクは萌え萌えです。今回、オーディオラックの脚を1組、各350mmのものに換装してその中にA-48を格納しました。プリメインアンプはヒートシンク部のスペースにボリューム部を格納している事になりますが、外形の格好良さは全く比較になりません。
・アナログメーター部を黒枠で囲み込んで、その枠内に製品名が薄く記載してあります。控えめで美しいです。パネルに直接黒で墨入れをしているC-2300はあまりにも直戴で比較の対象にさえなりません。
・こちらも英数字のフォントは意識して古い書体を使っています。製品名表示が美しいので気になりません。不思議なものですね。
・電源投入してランプが点灯した時の配色もこちらが綺麗です。Accuphaseランプが僅かに明るく、このあたりの細かい仕様まで統一してくれれば更に良かったです。
・C-2300はギリギリまで外装コストを切り詰めたのでしょうね。パワーアンプできちんと練られたデザイン文法を、コントロールアンプには転用できませんでした、という感じさえ受けました。そのくらいA-48は優美だと思います。
◾️同包品について
・電源ケーブル
C-2300と同等品ですかね。電ケーについては拘り始めたらキリがないので私は変えません。
◾️操作感について
・電源ボタン
何故かC-2300とは微妙に押し込みの感触が違います。本当に何故違うのでしょうね。それ以外のスイッチは全く触りません。
◾️機能について
・音決めについては完全に好みの問題です。試聴の話のとおりで、改めて言及することはありません。
・ヒートシンクはそれほど熱くはなりませんが、メッシュカバーからは路線バスの暖房の様な、ほのかな暖気が立ち昇ってきます。
・これには電気ストーブの異名を持つだけのことはあると思いました。メーカーの規定する設置方法は正しく守ることをお勧めします。
・いちばんいいのは機器本体の前後左右、上部を塞がない「平置き」だと思いますが、私としてはインナーケーブルの引き直し、買い替えは勘弁して欲しかったのでオーディオラックの脚を換装してカバー上部の空間を確保しました。
・dBメーターは-50から目盛りが刻んであります。ですが45W/8Ωなので、凄い勢いでボンボン針が振れます。気の毒なくらいです…
◾️総評
・お店で比較試聴させて頂いた時は上手く角を取った音だなという印象が強かったのですが、実際に自宅で使ってみると適度にソリッドないい音です。インナーケーブル、スピーカーケーブルが違うことが大きく影響しているのでしょうが、ボリュームを上げたくなる美音です。刺激感が少なく煩くなりません。
・拙宅のような貧弱な視聴環境におけるホームオーディオユースとしては充分なパワーですが戸建てで専用のオーディオルームを持っていらっしゃったり、効率の悪いスピーカーを鳴らす為にハイパワーが欲しいという方はブリッジ接続を検討したり、A-80が欲しくなるかも知れませんね。
・私にもし次があるとしたらパワーアンプのテコ入れでしょうか。A級パワーアンプの上位機種は型名こそA-80と名乗っていますが65W/8Ωだから悩ましいですね。外観のデザインもあまり好みではありませんし。絶対的なパワーが必要ならAB級に行くことになるでしょうけど、我が家の視聴環境では宝の持ち腐れかも知れませんね。
・来年あたりA-48の後継が来ると思いますが、デザイン文法は変えないで、かつ、お値段そのままでお願いしたいです。だけどこれ、どこをどうブラッシュアップするのでしょうね。それくらい完成度が高いと思います。
貴方も如何?毎日が本当に楽しくなりますよ。保証します。
-了-
※別途、補項を記載する予定です。
細客がセパレートアンプに手を出した話⑥
迷走迷走、また迷走。二転三転したその挙句、分不相応にも拙宅にセパレートアンプをお迎えすることになった訳ですが、コントロールアンプのC-2300は即納、パワーアンプのA-48は納期1ヶ月でした。
メーカー在庫が無い場合は次回のラインオフを待たないといけないので「1ヶ月待ち」なら運が良い方でしょうね。なお、製品サイクルから言うとA-48はそろそろ後継の話も出るところでしょうが、私は気にしません。というか知ってる人はみんな知ってる特殊事情により、2023年中に契約・購入するのがお得なのでね…(小声)
お迎えしたC-2300を開封したところ、大きさはともかく重さにびっくり。プリメインアンプ入門機みたいなみっしり感。おいおい…
今回の機器入替の改善効果を測る意味で、
①SACDプレーヤー→
②コントロールアンプ→
③手持ちのプリメインアンプのパワー部→
④スピーカー
の経路に繋ぎ変えてみたらびっくり。ノイズレベルの低さが効いています。倍音成分や音の揺らぎが良く聞こえますし、ギターのソリッド感が凄い。何だこれは。
まあ、現有のプリメインアンプを改造してプリ部に80万ぶっ込んだ状態とも言える訳ですから、聴感上の有意差がなければ「怒るでしかし」となりますねえ。ですが正味な話、これで目標の8割は達成した感じでした。パワー部の入れ替え、要らなくないか?とまで思いました。
逆に言うと、プリメインアンプのパワー部はそれなりに使える気がしました。
実はC-2900に予算全額ブチ込んで、パワーアンプは別の機会に購入というのもひとつの考え方だったかも知れませんね。以下にファーストインプレッションを記載。
◾️デザインについて
・機能が全体の形を規定しており美しいと思います。パーツの配置や形状については弄りようがないですね。
・私は曲面を多様する装飾をやらないのは見識だと思います。同じ理由で上位機種のウッドケース、ウッドパネルも要らないです。
・全体のプロポーションも良いです。視覚的な纏まりの良さがあり異形デザインでない事も選択理由のひとつでした。
・シャンパンゴールドのパネル色は好き嫌いが分かれるところだと思います。使用していない時は「仏壇デザイン」にしか見えず特にいいとは思えません。
・ところが、電源投入してランプが点灯した時の全体の配色は美しいです。つまり、使用中に限っては結構イケてます。
・英数字のフォントは意識して古い書体を使っていますが、格好いいとは言えません。それがエレガントかと言われたら違うでしょうね。
・製品名を機器のいちばん目立つところにデカデカと描くメーカーは稀です。昭和のクルマに良くありましたが、令和の今となってはデザイン文法は古いと思います。ですが、ニコンの懐古調デジタルカメラのように「装飾の変更」で需要喚起している訳ではありませんね。
・デザインはフォントに至るまで頑なに変えないというのを「方針」としてやっているのであれば、受け入れざるを得ません。そういう一貫性も含めての製品バリューだと思います。
◾️同包品について
・リモコン
使いません。電池も装填しません。依って使用感は不明です。
・電源ケーブル
使用中の他社SACDプレーヤーのものより細いとは思わなかったです。びっくり。但し、電源周りにまで拘り始めたらキリがないので私は変えません。
・ラインケーブル
標準添付されているのは良いですね。1m程度のケーブルがノイズレベルに影響を与えるとは思えないのでわざわざバランス接続する必要もないでしょう。私は以前から使っている社外品のラインケーブルをそのまま流用しています。
◾️操作感について
・電源ボタン
理由があってこの設計にしている、というのでなければ改善して欲しいです。グニャッとした感触でどこまで押し込めばいいのか迷うレベル。
・インプットセレクター
節度感があってとても良いです。スパッとした感触で切り替えられます。尤も私の場合「CD」から動かすことはないですが。
・ボリュームノブの動作
精密感があります。操作に遊びがないのは良いですね。
・ボリュームノブの回転量
本体に10段階の目盛が切ってあります。9時位置が2段階で-39dB。現実問題として拙宅は9時位置まで回したら間違いなく苦情が来る視聴環境で、MINと1段階位置の往復です。ノブの回転量と音量の関係は見直せるといいですね。
◾️機能について
・音決めに関しての絶対評価は難しいです。良し悪しでなく好き嫌いですので。
・従い、自分にとって好ましいかどうかという評価にならざるを得ませんが、これまで埋もれていた音がよく聴こえます。良いです。ちょっと元には戻れないですね。
・ボリュームを絞っても音が痩せません。ノイズレベルの低さが効いているのでしょう。まさか夜間にJBL4349から音を出せるとは思っていなかったです。
・バランス出力端子は1系統。「何が何でも2系統にバランス出力したい」方はC-2900に行くしかないです。私はライン出力しかしないので問題はないですが、念のため。
・トーンコントロール機能が付いています。かなり強力で、オリジナルの音色に影響を与えません。私はその時々の気分で高音域をプラス側に補正しています(JBL4349のトリムコントロール機能で高域・超高域のレベルを調整しても良いのですが、毎回変えるのは面倒なので本機のトーンコントロールのON/OFFで切り替えします)。
・音量レベル表示は便利です。最近はdB表示を見ながらボリュームの微調整をする習慣がつきました。
◾️総評
・思っていた以上の改善効果でした。満足です。
・コストに見合うかどうか、という考えはありませんでした。なお、C-2900は単に財布が無理だっただけです。A-48との組み合わせも予算からは少し足が出ました。
・パワーアンプの選定は慎重に行うことをお勧めします。今回、コントロールアンプとパワーアンプの組み合わせによって音色はかなり変わる事を実感しました。
◾️その他
・C-2300+A-48とE-800について比較試聴はしていません。従い、どのくらい聴感上の違いがあるのかは解りません。スペックは近接していますが値段は5割増し。悩みどころですね。
・東京地区の店舗で、上記の組み合わせを同一フロア内で比較試聴が可能なお店は、私の知る限り1店舗だけありました。ですが今は展示機器をP-4600に変えたようです。
・それ以外のお店ではクラスが違うので別フロア展示の事が多いですね。従い「必ず何かしら購入するから試聴させて欲しい」と伝えてセッティングして貰うしかないと思います。
・E-800がBalanced AAVAを採用しているとしても、セパレートアンプ同等のプリ部という訳にはいかないでしょうね。パーツの選別とか、いろいろな意味で。それでも最後は音作りの方向性ですから、お好きな方をどうぞ。
・つまり、一体どっちが得なのか、なんて事で悩まない事です。私はE-5000なりE-800なりに百万出して、自宅で使って、それで駄目なら泥沼だと思ったからセパレートアンプを選択しただけです。こちらが聴感上優れていると思ったことはありません。
・聴感上の好みで選ぼうが、予算で選ぼうが、カタチで選ぼうが、設置場所の都合で選ぼうが、自分はこっちだと思った方を選択すれば幸せになれます。意思をもって選ぶことです。
◾️雑感
・同じ食材が調理法によって日本料理になったりイタリア料理になったりしますね。オーディオ機器メーカーのサウンドマネージャーがどんな方向性を希求しようと自由ですし、その反映としての製品がどんな色彩を帯びようが、それぞれ違って良いと思います。違いがあるからこそ、選択できる。有難いことです。
・私は「長く使えること」も選択条件のひとつにしていました。過去に何度も痛い目に遭っていますのでね。もし私に資金が潤沢にあって「何だったら使い捨てでも構わん」という立場なら、外国製アンプを選択したと思います。聴感上、私の好みに近いのはそちらでした。
・どういう訳なのか自分が選択しなかった機器を、鬼の首でも取ったように貶める輩が腐るほどいますが、信用しない事です。販売店のブログにも散見されますが本当に吐き気がします。
・写真機材でも何でもそうですが、使ってもいない機器に自分の主観を押し付けるくらいなら、自分の使っている機器の駄目なところについて言及出来ないのかと、私は心の底から思っています。
・いろんな前提条件があるのは仕方ありません。住宅事情や財布の中身。それはそれとして受け入れた上で、シンプルに何が自分の好みのテイストなのかという視点で機器選択すればいいと思います。
(続きます)
細客がセパレートアンプに手を出した話⑤
意を決した私は、都内オーディオ店のハイエンドコーナーに向かいました。お店の方に「アキュフェーズのP-4600とC-2300を購入したいのですが」と用件を切り出した時には「これでもう後戻りできねえ」と思いました。安い買い物でもないので結構ビビりましたね。
自宅で聴感上の違いを何も感じなかったらどうしよう、何かが改善したとしても音楽を聴くのが楽しくなかったらどうしよう、金ドブになったらどうしよう…
店頭で具体的な製品名について言及したのはこれが初めてでした。定価ベースで150万する代物、それも一見の新規客ですので、店側にしてみたら「鴨葱キタワア」といった感じだったものと想像します。
私自身にはまだ、気持ちの揺らぎが多少ありました。私なりに調べて、消去法で残った仮説がこれという話に過ぎず「試聴した結果、何が何でも欲しいと思った」訳ではないからです。
当該機種はセパレートアンプとしては入門機同士の組み合わせですがそれでも予算ギリギリ。対抗はパワーアンプをA-48に差し替え、ですね。前述の理由により、外国メーカーのアンプはこの時点で選択肢から外しています。
正直に言いますが、スピーカーとコントロールアンプ、パワーアンプを一発で差替する訳ですから私の財力ではキャッシュがキツかったです。誰でも考えるC-2900は財布が無理でした。
え?C-3900?何それ。
それより下の価格帯だとプリメインアンプになりますね。ですが過日、プリメインアンプの視聴をさせて頂いた時にE-5000とE-4000の有意差はほとんど感じませんでした。5kのプリ部は回路設計上はC-3850ベース、Balanced AAVAです。一方の4kはE-480後継でAAVA。単純に考えたらノイズレベルの違いが聴感上の差として効いてくる筈ですが、それでも音色は4kの方が好みでしたからこの時点で5kは選択肢から落としました。
加えて。拙宅は夜間の時間帯にまで4349をドライブすることは考えられない環境なので、夜は当然、音量をかなり絞ります。それで音が痩せなければ、なお好ましいです。
まあいくら何でも全部が叶う訳はないですし、無いもの強請りだと分かっています。私はまさか機器を売る側に前項①みたいな◯脳がいるとは思いもしませんでしたが、視聴には前提があり、それぞれの事情というものが存在します。我々は仮想世界に住んでいる訳ではないという事は強調しておきます。
さて。果たしてこの人と会話のキャッチボールは成立するのでしょうか。
「私も配送で都内のお宅を訪問しますが、現実問題としては皆さん然程、住環境に恵まれている訳ではないですね。いずれにせよ、今お住まいの環境を考慮して、何がいいのかを考えましょう」
この人から買おう、と思いましたね。
「P-4600の発売時期は10月下旬ですので、ここで決めてしまわれるのではなく、試聴してお決めになられる事をお勧めします。価格的にはA-48と然程変わらないですから、両方お聞きになってみて下さい」
「ご自宅のスピーカーと揃えないと試聴の意味はありません。4349をセットしますから、試聴予約をなさって下さい。P-4600が入荷次第、お電話を差し上げます」
何ですかこの流れるようなプロの仕事。
レベチにも程がある。
この時「もうC-2300でいいや。後はP-4600かA-48の組み合わせで、どちらか好きな方を買えばいい」と思いました。
チョロいもんだなー、俺。
だけど、ここまで誰も私の財布の紐を解けなかったのは事実なんでね。みなさんは150万の売上なんか要らないと言ったのも同然ですから、それだけはきっちり表明しておきます。
つまり、営業の仕事はそんなものだと思うんです。人間の魅力を規定するのは立ち振る舞いや言葉の流麗さといった表面的な美しさでしょうが、その背景には知性の裏打ちがないとどうしようもないですね。数字が取れる人は結局、クレバーな人です。
中には客の出した機種名から1ランク上の機種を推す人もいます。経験上最低ラインは少し上で、専門家として「長く使うならこっち」という思いはあるのでしょう。そりゃ誰だってC-2900とP-7500の組み合わせが買えればいいとは思いますよ…
ですが、そんな提案をする気配が無かった事も好感度を上げました。コントロールアンプをC-2300に固定してP-4600とA-48に選択肢を絞りきったところが手練手管で、こちらとしてはお陰で「嫌々財布の都合でこうなった」という思いを抱かずに済みましたのでね。
客は実際に使ってみて駄目だと思ったら次の機会に買い替えする訳で、その需要も取り込んでしまえば一粒で二度美味しい。中古放出してくれたら三度美味しい。つまり、双方これで良いのです。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
10月下旬になり、試聴の日が来ました。
ワクワクテカテカ。
世の中に広く流布している評価は「ロック、ジャズ・フュージョンにはAB級アンプ」というものですね。私自身もAB級アンプを使っていましたので耳当たりと言うか慣れもあります。ですから私自身としても当然のようにP-4600を選択するものだと思っていたのですが。
さて。試聴機器は
DP750-C2300-パワーアンプ-4349です。
①P-4600
・エッジの効いた、解像感の高い音でした。
・時々ゴリっとした硬さがありました。但し、もう少し鳴らし込んでエージングが終われば落ち着いた音になると思います。
・音がスパスパ飛んできます。楽曲全体を俯瞰的に聴くのにはこちらがいいと思います。
・静寂感があって音が尖っている分、音数の少ない曲はこちらが圧倒的に良く聴こえました。
・「あ、この音どこかで聴いた」と思いました。ラックストーン、マッキントーンとは方向性が違い、ひたすら解析的です。聴感上のSNが高いので、盤質の悪い音源を聴くのにはこちらが向いていますでしょうね。
・帰宅して調べたらSN比は125db。A-48は117db。ひょっとしてスペックの差はあるのかな…
② A-48
・上手くカドの取れた音です。緩いのではなく刺激感を排除した音作りだと思います。
・楽曲を構成するパーツが等しく飛んで来るというより、多少の濃淡は感じました。
・P-4600より僅かに重心が低く、下が厚いかなと思いました。
・相性の悪いコントロールアンプと組み合わせない方がいいでしょうね。実態としてオマケでしかない「プリメインのプリ部」から繋ぎ込むことはしない方が…
・多少ソースを選ぶかも知れませんが、ハマればこちらが楽しいと思います。
・ギターの音色の色気が凄い。と言うかはっきり言ってエロい。増幅方式の違いでは説明できません。エレキギターが弦楽器だと思ったのはこれが初めてです。
P-4600をまず先に聴いたのですが、普通に良い音だなと思いました。上述のとおり「あ、この音どこかで聴いた」とも思いました。オーディオ専門店の試聴環境に多いメリハリの効いた音です。
次に同じ楽曲をA-48で掛けて頂いたのですが、かなり混乱しました。全然違う。俺どっちが好きなんだっけ、何が違うんだっけ、と自問自答しないと選べないくらい違いました。
◾️P-4600
打率4割。ホームラン3本。
解析的。クール。
音と対峙したいときはこちら。
大事な商談に使うならこちら。
昼はこちら。
ヨーロピアンサウンド好きはこちら。
実はクラシック向きだと思います。※但し、第一バイオリンの旋律を追うような聴き方をされる場合は除きます。
◾️A-48
打率2割、ホームラン48本。
煽情的。ウォーム。
音楽に浸りたいときはこちら。
おねえちゃん騙したいときはこちら。
夜はこちら。
アメリカンサウンド好きはこちら。
実はロック、ジャズフュージョン向きだと思います。
評価って奴は人それぞれ本当に違いますね。
A級、AB級の相違は優劣でなく増幅方式の違いと喝破された方がいらっしゃいましたが、これだけ違うと説明がつかない。
設計者が増幅方式の違いを、音作りの方向性の違いに反映させているのでしょうね。
ちなみにアテンドして頂いたお店の方は「これだけ違うと好みで選ぶしかないですね。私はP-4600が好きです」と仰っていました。
人間なんだから感想ってものがある訳で、練達のプロフェッショナルとそういう話をしたいのです。参考になるなあ。で、私は決めました。
A-48にします。
どうしてこうなった?
(続きます)
細客がセパレートアンプに手を出した話④
最大の不安は試聴さえしていない4349がまともに鳴ってくれるのかという事でしたが、導入初日から分厚い低音がばんばん飛んできます。音の重心が下がり、打楽器系の高い音も歯切れよく鳴っています。取り敢えずホッとしました。
現在、JBLスタジオモニターは全て2wayに集約されていますね。4429は最後の3wayとなりましたので、後継が無いと判明した折には一定の駆け込み需要が発生したものと想像します。
3wayをお使いの方にとって2wayへの変更はダウングレードのように見えますね。ましてこの日本の住環境で4wayの4344がバカ売れした訳ですから「2way?何それ」と感じた方も多かったことでしょう。
実際に4349を所有してみると形式はあまり関係ないなと思いました。帯域分割もスピーカーの構成がよりシンプルな分だけ高価なパーツを使えたりして、メリットもあるのでしょう。
つまりユニットは多ければ多いほど良い、という訳ではないのですね。前の所有機器と違って4349は音の定位感がしっかりしています。おかしな所から音が飛んでくることもありません。
ちなみに、ホーンの効果は分からないです。これは比較のしようがないので何とも言えないですね。
加えて言うとリスニングポイントを後ろに下げても違和感は感じません。拙宅ではスピーカーと机をそれぞれリビングルームの反対側の端に置いていますが、デスクワークをしながら聴いても快適です。チャンネルセパレーションはそこそこのレベルにまで落ちますし、高音も減衰します。ですが「ながら視聴」も楽しいです。
音楽に浸りたい時は、もちろん適切なリスニングポジションを取ります。現時点では不満らしい不満はありません。
さて。ここからが最大の課題について、です。
※この項、暫くの間、筆致がグルーミーになりますのでご了承下さい…
今回、機器の入れ替えを企図した理由を改めて記載しますと、楽曲の音数が少なければ何の問題もないのです。ところが複雑な構成の楽曲は音がもっさりします。一枚のCDの中の楽曲でさえこれはいい、これは悪いと評価が分かれてしまうのですね。
先に挙げたJeff Beckの「Wired」で言うと、「Led Boots」は何コレ?というレベルでした。
一方で「Goodbye Pork Pie Hat」は何の問題もありませんでした。良く鳴っていました。
各楽曲の、各パートの聴こえ方はレコーディングエンジニアの腕を反映したものかも知れません。それでは、イケてない録音のサルベージは僅かではあっても可能なのでしょうか?
今回、スピーカーの入れ替えで一定の改善は出来たと思います。それなら上流の機器を入れ替えすると更なる改善は望めるのでしょうか。
その場合、投資に見合うだけの改善効果はあるのでしょうか。また、機器に金を突っ込むならどちらが良いのでしょうか。
アンプ?それともSACDプレーヤー?
知見のない私には分かりませんし、知らないことは専門家に聞かないと解決できない訳で、私は専門店に教えを乞いに行きました。もちろん機器購入が前提です。が…
…お前本当に大学出たのか…
何処であっても聖人は存在するものですね。その一方で、どんな組織であっても下位の1割は箸にも棒にも掛からないと言うか、絶対この仕事向いてないだろと言うか、次の異動で総務か経理かどこか別の部署行けと言うか、お前の会社はパートさんの方がよっぽど使えるじゃねえかと言うか…
ま、こんな与太話が検索ヒットしても拙いですから実名は出しません。
①AKB T 第n店4階
「アンプなんか入替しても効果がある訳ない。今から4367に買い替えたらいいじゃないですか。あんたの住宅事情?そんなのウチには関係ない。ウチは売場にある製品を売るだけだ」
→私は思いました。
◯稚園からやり直してこい、低◯。
太客を沢山抱えて儲かって儲かって仕方ない売場なんでしょう。いい事ですね。
(◯の中に自分で好きな言葉を入れましょう)
ちなみに1階の人はカタログをくれたりしていい人でした。不良在庫と化した2階の外国製超高額中古に誘導しようとしたのが丸わかりで、本当にそれさえバレなきゃ良かったですねえ。とにかく何から何まで変わったお店でした。
②AKB nnnn店1階
「余程思いきったことをしないと改善はしないと思います」
→ 仰っていること自体は正しいですし、余計なことを言わないだけまだマシです。ですが、思いきったこととは何なのでしょうね。
私は、公職選挙は「バカの答え合わせ」だと思っています。誰かが正解を教えてくれる訳でなく、そもそも正解はどこにもない。だから何も考えていない奴に限って当選しそうな候補に乗る。大阪なんかがそうですね。
この業界も結局は「バカの答え合わせ」なのかと、暗澹たる気持ちになって来ました。
客は何をどう選択したらいいのか分からない。店は何も答えない。だから富裕層は黙って高い機種から買って行くし、その方が店には都合がいい。「情報の非対称性」を温存する方が。
このお店の人は「捨て三」だの「値段.com」の投稿だのを読んで、その気になったカモが葱を背負って飛んで来るのを待つのが仕事なのでしょうか。そこに網を張って一網打尽。ですが、店員の皆さんは知っている筈です。
そんなの買うバカ見た事ないってね。
もういっその事、オーディオ機器製造会社は自社ショールームでも開設して、メーカー直販の定価売りに業態を変えればいいと思いますよ。買いたい奴だけ買ってくれっていう商売に。
現にクルマなんかはそうじゃないですか。正規ディーラーは自社製品しか売らない訳で。
社会的不適合者の集う街、AKB。
ここはもう駄目だと諦めてロケーションを変えました。
③学生街のオーディオ店1階
「結局はソースですね。ですが蒐集し始めたらキリがないです。機器の入れ替えでは解決出来ないでしょう」
→ソースが大事ということ自体にはagreeですね。EL&PのBrain Salad Surgery なんかもう、CDは盤質最悪で聴く気もしません。今更アナログを探すとか金が掛かるだけでやりたくありません。そこまでは完全同意です。
こっちはじゃあ、機器側で出来ることはないのかって話をしているのに、そこで思考停止してしまうのは何故なんですか。
3店舗回って全滅とか、もう笑うしかねえ…
※遂に悪態の質まで悪くなってまいりました。
ここには試聴用の4349が設置してあります。持ち込んだCDでプリメインアンプの試聴をさせて頂きましたし、試聴したら買うという原理原則に従えばここで決めるべきです。それでも、どうしてもアンプを買い替えようという気にはなれませんでした。
某プリメインの5kも4k も0.8kも綺麗な音で鳴っています。ですが、アクセルとブレーキを両方いっぺんに踏んでいるような奇妙な感覚がどうしても拭えなかったのです。
今思えばそれは「会話して話が噛み合わない奴に媚びてまで高額商品を買って楽しいか?」というモヤモヤ感だったのでしょう。結局は、それがアクセルよりもブレーキをより強く踏んだ原因だと思います。
適当な言説で推奨機器をでっちあげて飯を食ってる評論家は論外だとしても、ここは実店舗ではないのですか。納得感の高いコンサルテーションをしてくれさえすれば、こっちは喜んで買う訳です…
さて。
前述したとおり、これらの販売点に共通する行動様式は、一種の自己防衛なんだろうなとは思います。何も言わない方が安全だ、客が指定したモノだけ売ればいいんだ、と。そうなったのには、何らかの理由があるのでしょう。ある意味でお気の毒さまです。
それでも、クルマみたいな値段を払って一連のシステムを更新するつもりなのに、客に「勝手に決めろ」「決めたら白紙委任状を出せ」というのは違うと思うんです。
自動車ディーラーには展示車があって試乗会があって、しかも担当営業が付く。オーディオ機器の販売もひとつのソリューションビジネスであって、客はお店に対してプロの見識を期待しているからこそ、実店舗に足を運んでいる訳ですよ。
分かるかな?分からねえだろうな…
現実は厳しくて、4店舗5フロアを回ってもこの人プロだわという見識を持った方とは遂にお会い出来ませんでした。皆さん操る日本語自体が稚拙で、絶対にこの仕事を好きでやってる訳ではないんだろうなと思いました。
こっちは問題意識という名のボールを投げてる訳です。だけど、そのボールが返ってこない。それどころかそのボールを私自身が拾いに行って、話の接穂を探し続ける始末。
これは一体どういう理由に依るのでしょうか。貴方たちは社会の最下層からも零れ落ちたゼロの人間なのでしょうか?
「お前たちはゼロか?ゼロの人間なのか?何をやるのもいい加減にして、一生ゼロのまま終わるのか!」っていうアレ…なんかもうスクールウォーズみたいじゃねえか。
多分、私の顔に書いてあったんでしょう。
細 客 っ て ね 。
仕方がないので、私はスピーカーのエージングをしながら、のんびり情報収集することにしました。実店舗よりもSNSを当てにせざるを得ないというのはかなり情けなかったですが、動画サイトでオーディオ専門店の「アンプ対決動画」を視聴するのは結構楽しかったです。
とは言え流石に、専門店が動画収録時に盤質の悪いソースはかけることはしませんね。彼等も機器を売るのが仕事であって、ボランティアでやっている訳では無いのでね。
私は動画を視聴して音が綺麗に鳴っているところ、音楽として意図を持ってソースを再現しているところといった個性の違いは感じました。JBLと相性がいいのはこっちだなと思ったメーカーさんも、一応ですがありました。
さて。
ここから先はありきたりの結論に向かっていきます。ここがこの一連の話の肝の筈なんですが全くつまらないので端的に書きます。
・会社で選びました。
・スピーカーもアンプも試聴して決めてません。
・我ながら、気は確かなのかと思います。
外国の有名ブランドのアンプについてあれこれ調べて行くと、検索エンジンの予測変換で何故か「修理」「中古」というキーワードが頻繁に出て来るのです。中古は分かりますね、高額商品ですから中古を探している人が沢山いるのは写真機材と同じことです。
じゃあ修理は何だろうと思って、検索ヒットしたサイトの記事を読んだらびっくりしました。モノはCDプレーヤーのようでしたが、一旦壊れたら代理店でも、正規ルートで本国送還してもまともに治せないというのです。
壊れるという話は聞きます。問題はそこではありません。きちんと治せない事が問題なのです。
その方は修理業者さんなのでしょうね。静かな筆致ではありましたが、怒っていらっしゃいました。興味を持たれた方は「ここだと思うメーカー名」と「修理」で検索してみて下さい。
こういうのを金持ちの道楽って言うんじゃないのか…
希望小売価格は頭抜けて高いのに、中古や店頭展示品の売価が安いのはこういう理由かと腹落ちしました。先の某店でも中古在庫の状況は検索が可能なのですが、誘導された機器は未だに売れた形跡がありません。
これはもう、当該製品は多少の不具合が発生する事を織り込んだ上で、富裕層がお遊びで買うものだと理解するしかないですね。
結論。
多少の事に目を瞑ってもアキュフェーズのセパレートアンプに行くしかない。それで駄目ならもう諦めよう。
(続きます)