細客がセパレートアンプに手を出した話④

最大の不安は試聴さえしていない4349がまともに鳴ってくれるのかという事でしたが、導入初日から分厚い低音がばんばん飛んできます。音の重心が下がり、打楽器系の高い音も歯切れよく鳴っています。取り敢えずホッとしました。

現在、JBLスタジオモニターは全て2wayに集約されていますね。4429は最後の3wayとなりましたので、後継が無いと判明した折には一定の駆け込み需要が発生したものと想像します。
3wayをお使いの方にとって2wayへの変更はダウングレードのように見えますね。ましてこの日本の住環境で4wayの4344がバカ売れした訳ですから「2way?何それ」と感じた方も多かったことでしょう。

実際に4349を所有してみると形式はあまり関係ないなと思いました。帯域分割もスピーカーの構成がよりシンプルな分だけ高価なパーツを使えたりして、メリットもあるのでしょう。
つまりユニットは多ければ多いほど良い、という訳ではないのですね。前の所有機器と違って4349は音の定位感がしっかりしています。おかしな所から音が飛んでくることもありません。
ちなみに、ホーンの効果は分からないです。これは比較のしようがないので何とも言えないですね。

加えて言うとリスニングポイントを後ろに下げても違和感は感じません。拙宅ではスピーカーと机をそれぞれリビングルームの反対側の端に置いていますが、デスクワークをしながら聴いても快適です。チャンネルセパレーションはそこそこのレベルにまで落ちますし、高音も減衰します。ですが「ながら視聴」も楽しいです。
音楽に浸りたい時は、もちろん適切なリスニングポジションを取ります。現時点では不満らしい不満はありません。

さて。ここからが最大の課題について、です。
※この項、暫くの間、筆致がグルーミーになりますのでご了承下さい…

今回、機器の入れ替えを企図した理由を改めて記載しますと、楽曲の音数が少なければ何の問題もないのです。ところが複雑な構成の楽曲は音がもっさりします。一枚のCDの中の楽曲でさえこれはいい、これは悪いと評価が分かれてしまうのですね。

先に挙げたJeff Beckの「Wired」で言うと、「Led Boots」は何コレ?というレベルでした。
一方で「Goodbye Pork Pie Hat」は何の問題もありませんでした。良く鳴っていました。

各楽曲の、各パートの聴こえ方はレコーディングエンジニアの腕を反映したものかも知れません。それでは、イケてない録音のサルベージは僅かではあっても可能なのでしょうか?

今回、スピーカーの入れ替えで一定の改善は出来たと思います。それなら上流の機器を入れ替えすると更なる改善は望めるのでしょうか。

その場合、投資に見合うだけの改善効果はあるのでしょうか。また、機器に金を突っ込むならどちらが良いのでしょうか。
アンプ?それともSACDプレーヤー?

知見のない私には分かりませんし、知らないことは専門家に聞かないと解決できない訳で、私は専門店に教えを乞いに行きました。もちろん機器購入が前提です。が…

…お前本当に大学出たのか…

何処であっても聖人は存在するものですね。その一方で、どんな組織であっても下位の1割は箸にも棒にも掛からないと言うか、絶対この仕事向いてないだろと言うか、次の異動で総務か経理かどこか別の部署行けと言うか、お前の会社はパートさんの方がよっぽど使えるじゃねえかと言うか…

ま、こんな与太話が検索ヒットしても拙いですから実名は出しません。

①AKB T 第n店4階
「アンプなんか入替しても効果がある訳ない。今から4367に買い替えたらいいじゃないですか。あんたの住宅事情?そんなのウチには関係ない。ウチは売場にある製品を売るだけだ」

→私は思いました。
◯稚園からやり直してこい、低◯。
太客を沢山抱えて儲かって儲かって仕方ない売場なんでしょう。いい事ですね。
(◯の中に自分で好きな言葉を入れましょう)

ちなみに1階の人はカタログをくれたりしていい人でした。不良在庫と化した2階の外国製超高額中古に誘導しようとしたのが丸わかりで、本当にそれさえバレなきゃ良かったですねえ。とにかく何から何まで変わったお店でした。

②AKB nnnn店1階
「余程思いきったことをしないと改善はしないと思います」

→ 仰っていること自体は正しいですし、余計なことを言わないだけまだマシです。ですが、思いきったこととは何なのでしょうね。

私は、公職選挙は「バカの答え合わせ」だと思っています。誰かが正解を教えてくれる訳でなく、そもそも正解はどこにもない。だから何も考えていない奴に限って当選しそうな候補に乗る。大阪なんかがそうですね。

この業界も結局は「バカの答え合わせ」なのかと、暗澹たる気持ちになって来ました。
客は何をどう選択したらいいのか分からない。店は何も答えない。だから富裕層は黙って高い機種から買って行くし、その方が店には都合がいい。「情報の非対称性」を温存する方が。

このお店の人は「捨て三」だの「値段.com」の投稿だのを読んで、その気になったカモが葱を背負って飛んで来るのを待つのが仕事なのでしょうか。そこに網を張って一網打尽。ですが、店員の皆さんは知っている筈です。

そんなの買うバカ見た事ないってね。

もういっその事、オーディオ機器製造会社は自社ショールームでも開設して、メーカー直販の定価売りに業態を変えればいいと思いますよ。買いたい奴だけ買ってくれっていう商売に。
現にクルマなんかはそうじゃないですか。正規ディーラーは自社製品しか売らない訳で。

社会的不適合者の集う街、AKB。
ここはもう駄目だと諦めてロケーションを変えました。

③学生街のオーディオ店1階
「結局はソースですね。ですが蒐集し始めたらキリがないです。機器の入れ替えでは解決出来ないでしょう」

→ソースが大事ということ自体にはagreeですね。EL&PのBrain Salad Surgery なんかもう、CDは盤質最悪で聴く気もしません。今更アナログを探すとか金が掛かるだけでやりたくありません。そこまでは完全同意です。
こっちはじゃあ、機器側で出来ることはないのかって話をしているのに、そこで思考停止してしまうのは何故なんですか。

3店舗回って全滅とか、もう笑うしかねえ…
※遂に悪態の質まで悪くなってまいりました。

ここには試聴用の4349が設置してあります。持ち込んだCDでプリメインアンプの試聴をさせて頂きましたし、試聴したら買うという原理原則に従えばここで決めるべきです。それでも、どうしてもアンプを買い替えようという気にはなれませんでした。

某プリメインの5kも4k も0.8kも綺麗な音で鳴っています。ですが、アクセルとブレーキを両方いっぺんに踏んでいるような奇妙な感覚がどうしても拭えなかったのです。
今思えばそれは「会話して話が噛み合わない奴に媚びてまで高額商品を買って楽しいか?」というモヤモヤ感だったのでしょう。結局は、それがアクセルよりもブレーキをより強く踏んだ原因だと思います。

適当な言説で推奨機器をでっちあげて飯を食ってる評論家は論外だとしても、ここは実店舗ではないのですか。納得感の高いコンサルテーションをしてくれさえすれば、こっちは喜んで買う訳です…

さて。
前述したとおり、これらの販売点に共通する行動様式は、一種の自己防衛なんだろうなとは思います。何も言わない方が安全だ、客が指定したモノだけ売ればいいんだ、と。そうなったのには、何らかの理由があるのでしょう。ある意味でお気の毒さまです。

それでも、クルマみたいな値段を払って一連のシステムを更新するつもりなのに、客に「勝手に決めろ」「決めたら白紙委任状を出せ」というのは違うと思うんです。
自動車ディーラーには展示車があって試乗会があって、しかも担当営業が付く。オーディオ機器の販売もひとつのソリューションビジネスであって、客はお店に対してプロの見識を期待しているからこそ、実店舗に足を運んでいる訳ですよ。

分かるかな?分からねえだろうな…

現実は厳しくて、4店舗5フロアを回ってもこの人プロだわという見識を持った方とは遂にお会い出来ませんでした。皆さん操る日本語自体が稚拙で、絶対にこの仕事を好きでやってる訳ではないんだろうなと思いました。
こっちは問題意識という名のボールを投げてる訳です。だけど、そのボールが返ってこない。それどころかそのボールを私自身が拾いに行って、話の接穂を探し続ける始末。

これは一体どういう理由に依るのでしょうか。貴方たちは社会の最下層からも零れ落ちたゼロの人間なのでしょうか?

「お前たちはゼロか?ゼロの人間なのか?何をやるのもいい加減にして、一生ゼロのまま終わるのか!」っていうアレ…なんかもうスクールウォーズみたいじゃねえか。

多分、私の顔に書いてあったんでしょう。

細 客 っ て ね 。

仕方がないので、私はスピーカーのエージングをしながら、のんびり情報収集することにしました。実店舗よりもSNSを当てにせざるを得ないというのはかなり情けなかったですが、動画サイトでオーディオ専門店の「アンプ対決動画」を視聴するのは結構楽しかったです。

とは言え流石に、専門店が動画収録時に盤質の悪いソースはかけることはしませんね。彼等も機器を売るのが仕事であって、ボランティアでやっている訳では無いのでね。
私は動画を視聴して音が綺麗に鳴っているところ、音楽として意図を持ってソースを再現しているところといった個性の違いは感じました。JBLと相性がいいのはこっちだなと思ったメーカーさんも、一応ですがありました。

さて。
ここから先はありきたりの結論に向かっていきます。ここがこの一連の話の肝の筈なんですが全くつまらないので端的に書きます。

・会社で選びました。
・スピーカーもアンプも試聴して決めてません。
・我ながら、気は確かなのかと思います。

外国の有名ブランドのアンプについてあれこれ調べて行くと、検索エンジンの予測変換で何故か「修理」「中古」というキーワードが頻繁に出て来るのです。中古は分かりますね、高額商品ですから中古を探している人が沢山いるのは写真機材と同じことです。

じゃあ修理は何だろうと思って、検索ヒットしたサイトの記事を読んだらびっくりしました。モノはCDプレーヤーのようでしたが、一旦壊れたら代理店でも、正規ルートで本国送還してもまともに治せないというのです。
壊れるという話は聞きます。問題はそこではありません。きちんと治せない事が問題なのです。

その方は修理業者さんなのでしょうね。静かな筆致ではありましたが、怒っていらっしゃいました。興味を持たれた方は「ここだと思うメーカー名」と「修理」で検索してみて下さい。

こういうのを金持ちの道楽って言うんじゃないのか…

希望小売価格は頭抜けて高いのに、中古や店頭展示品の売価が安いのはこういう理由かと腹落ちしました。先の某店でも中古在庫の状況は検索が可能なのですが、誘導された機器は未だに売れた形跡がありません。
これはもう、当該製品は多少の不具合が発生する事を織り込んだ上で、富裕層がお遊びで買うものだと理解するしかないですね。

結論。
多少の事に目を瞑ってもアキュフェーズのセパレートアンプに行くしかない。それで駄目ならもう諦めよう。

(続きます)