細客がセパレートアンプに手を出した話⑦

そうこうしているうちに1ヶ月経過。
A-48の入荷連絡を頂き、お店まで代金の支払に行ってきました。下取に出すプリメインアンプの見積金額を出して頂き、その差額を支払すればオーケーという太っ腹。試聴の時に加えまたも破格の厚遇、こんな一見の細客にいいんですか?

いや、だって、私が製品名を間違えて記憶していたらどうするんですか。どこか壊れていないかと買取前にチェックはしないのでしょうか。

これが写真レンズの下取交換なら、レンズの黴とか、ヘリコイドラバーの劣化とか、それこそ鵜の目鷹の目で現物をチェックする訳です。その結果としてWEB上に掲載されている買取金額とは似ても似つかない金額まで叩かれることはザラにある訳で。

いいんですか本当に?

かなり戸惑いはしたものの、箱やら取説やら保管できるものは全部保管しておいて良かったです。外観に目立った傷はないですし。
何か「やらかし」があれば担当営業さんにご迷惑をお掛けする事になる訳で、そうなったら次の機会は他を当たるしかなくなります、従い私としては、購入と買取の契約を分けてくれる方が気は楽でした。

ちなみに。
今回手放したプリメインアンプの利用料に相当する金額を計算したら、109,000円ポッキリ。ちょうど5年使ったので1年あたり21,800円でレンタルした事になる訳で、ちょっと申し訳ないです。

と言うのは、私は販売促進も行き過ぎは良くないと思うのです。アキュフェーズは正規特約店の数が少ないですが、価格拘束があれだけキツイと東京地区の販売店は下取優遇で差別化するしかなくなりますね。本稿④節で記載したAKB地区などは、客から見たお店の選別原理が今以上に激しくなると思いますし、アキュフェーズが販売店にとって「扱いにくいメーカー」という事にならなければいいですね。
ま、私は偏狭なのでこれを機会にTに天罰が下る事を期待していますが。

☆ ☆ ☆

代金支払の4日後にA-48をお迎えしました。
今回は引取とセットですのでお店の方に拙宅までお越し頂いたのですが、ちゃちゃっと箱を開封してあっという間にセッティング完了。おおおー。「これでどれだけ変わるか楽しみですね」とのお言葉。期待が膨らみます。

お店の方をお見送りしてからケーブルを繋ぎ込んで、試聴に使った曲を掛けて見たところ…

おかしくないか?

もっさり感がパネエ(汗)

やっちまったか?(滝汗)

いやそんな筈はねえだろ、試聴もしたんだし。これはエージングしないと評価が定まらないと気持ちを切り替えて、CDを掛けたまま食事に行きました。帰宅したのは通電開始から4時間後くらいです。

化けてました。僅かに纏っていた薄いベールのようなものが取れました。明瞭度の高い音で、美音です。
女性ヴォーカルは少し硬いかな。ですが、いずれ落ち着くと思います。暫くの間エージングは必要でしょうが、その後、毎日アイドリングが必須なのかどうかは現時点では判りません。

あ、このアンプ(C-2300/A-48)いいなと思ったのは、松岡直也のタッチ・ザ・ニューヨーク・ピンクを聴いた時でした。ウッドブロックというか木魚というか、目立たない打楽器の音が左チャネル側でずっと存在を主張していて「あ、これ、曲の最初から最後までこうだったのか」と気が付いたのです。
音の分離に関してはコントロールアンプの性能に依存するでしょうが、スピーカーをドライブするのはパワーアンプな訳で、4349が仕事をするかどうかはこいつの出来次第。作曲者、演奏者の意図のようなものがCD購入から30年以上経ってから分かったのは、ある意味で感慨深かったです。

最後に告白しますが私はアキュフェーズ的な無個性は嫌いでした。A-48を聴くまではね。恐らくE-800を選んだ人もそうだと思います。ああ俺はこっちだわ、ってね。
それでは最後にA-48についても第一印象を記載して終わりにします。

◾️デザインについて
・格好いいです。C-2300は機能的でよく纏まっていますが、A-48はエモーショナルでさえあると思います。
・何と言っても目を引くのはアナログメーターですね。C-2300にはdB表示がありデジタル表示ですから両者は一見対照的です。カテゴリーの違う製品ではありますが、視覚的な観点では断然こちらの纏め方が好みです。
ヒートシンクは萌え萌えです。今回、オーディオラックの脚を1組、各350mmのものに換装してその中にA-48を格納しました。プリメインアンプはヒートシンク部のスペースにボリューム部を格納している事になりますが、外形の格好良さは全く比較になりません。
・アナログメーター部を黒枠で囲み込んで、その枠内に製品名が薄く記載してあります。控えめで美しいです。パネルに直接黒で墨入れをしているC-2300はあまりにも直戴で比較の対象にさえなりません。
・こちらも英数字のフォントは意識して古い書体を使っています。製品名表示が美しいので気になりません。不思議なものですね。
・電源投入してランプが点灯した時の配色もこちらが綺麗です。Accuphaseランプが僅かに明るく、このあたりの細かい仕様まで統一してくれれば更に良かったです。
・C-2300はギリギリまで外装コストを切り詰めたのでしょうね。パワーアンプできちんと練られたデザイン文法を、コントロールアンプには転用できませんでした、という感じさえ受けました。そのくらいA-48は優美だと思います。

◾️同包品について
電源ケーブル
C-2300と同等品ですかね。電ケーについては拘り始めたらキリがないので私は変えません。

◾️操作感について
・電源ボタン
何故かC-2300とは微妙に押し込みの感触が違います。本当に何故違うのでしょうね。それ以外のスイッチは全く触りません。

◾️機能について
・音決めについては完全に好みの問題です。試聴の話のとおりで、改めて言及することはありません。
ヒートシンクはそれほど熱くはなりませんが、メッシュカバーからは路線バスの暖房の様な、ほのかな暖気が立ち昇ってきます。
・これには電気ストーブの異名を持つだけのことはあると思いました。メーカーの規定する設置方法は正しく守ることをお勧めします。
・いちばんいいのは機器本体の前後左右、上部を塞がない「平置き」だと思いますが、私としてはインナーケーブルの引き直し、買い替えは勘弁して欲しかったのでオーディオラックの脚を換装してカバー上部の空間を確保しました。
・dBメーターは-50から目盛りが刻んであります。ですが45W/8Ωなので、凄い勢いでボンボン針が振れます。気の毒なくらいです…

◾️総評
・お店で比較試聴させて頂いた時は上手く角を取った音だなという印象が強かったのですが、実際に自宅で使ってみると適度にソリッドないい音です。インナーケーブル、スピーカーケーブルが違うことが大きく影響しているのでしょうが、ボリュームを上げたくなる美音です。刺激感が少なく煩くなりません。
・拙宅のような貧弱な視聴環境におけるホームオーディオユースとしては充分なパワーですが戸建てで専用のオーディオルームを持っていらっしゃったり、効率の悪いスピーカーを鳴らす為にハイパワーが欲しいという方はブリッジ接続を検討したり、A-80が欲しくなるかも知れませんね。
・私にもし次があるとしたらパワーアンプのテコ入れでしょうか。A級パワーアンプの上位機種は型名こそA-80と名乗っていますが65W/8Ωだから悩ましいですね。外観のデザインもあまり好みではありませんし。絶対的なパワーが必要ならAB級に行くことになるでしょうけど、我が家の視聴環境では宝の持ち腐れかも知れませんね。
・来年あたりA-48の後継が来ると思いますが、デザイン文法は変えないで、かつ、お値段そのままでお願いしたいです。だけどこれ、どこをどうブラッシュアップするのでしょうね。それくらい完成度が高いと思います。

貴方も如何?毎日が本当に楽しくなりますよ。保証します。

-了-

※別途、補項を記載する予定です。