細客がセパレートアンプに手を出した話⑥

迷走迷走、また迷走。二転三転したその挙句、分不相応にも拙宅にセパレートアンプをお迎えすることになった訳ですが、コントロールアンプのC-2300は即納、パワーアンプのA-48は納期1ヶ月でした。
メーカー在庫が無い場合は次回のラインオフを待たないといけないので「1ヶ月待ち」なら運が良い方でしょうね。なお、製品サイクルから言うとA-48はそろそろ後継の話も出るところでしょうが、私は気にしません。というか知ってる人はみんな知ってる特殊事情により、2023年中に契約・購入するのがお得なのでね…(小声)

お迎えしたC-2300を開封したところ、大きさはともかく重さにびっくり。プリメインアンプ入門機みたいなみっしり感。おいおい…
今回の機器入替の改善効果を測る意味で、
SACDプレーヤー→
②コントロールアンプ→
③手持ちのプリメインアンプのパワー部→
④スピーカー
の経路に繋ぎ変えてみたらびっくり。ノイズレベルの低さが効いています。倍音成分や音の揺らぎが良く聞こえますし、ギターのソリッド感が凄い。何だこれは。

まあ、現有のプリメインアンプを改造してプリ部に80万ぶっ込んだ状態とも言える訳ですから、聴感上の有意差がなければ「怒るでしかし」となりますねえ。ですが正味な話、これで目標の8割は達成した感じでした。パワー部の入れ替え、要らなくないか?とまで思いました。

逆に言うと、プリメインアンプのパワー部はそれなりに使える気がしました。
実はC-2900に予算全額ブチ込んで、パワーアンプは別の機会に購入というのもひとつの考え方だったかも知れませんね。以下にファーストインプレッションを記載。

◾️デザインについて
・機能が全体の形を規定しており美しいと思います。パーツの配置や形状については弄りようがないですね。
・私は曲面を多様する装飾をやらないのは見識だと思います。同じ理由で上位機種のウッドケース、ウッドパネルも要らないです。
・全体のプロポーションも良いです。視覚的な纏まりの良さがあり異形デザインでない事も選択理由のひとつでした。
シャンパンゴールドのパネル色は好き嫌いが分かれるところだと思います。使用していない時は「仏壇デザイン」にしか見えず特にいいとは思えません。
・ところが、電源投入してランプが点灯した時の全体の配色は美しいです。つまり、使用中に限っては結構イケてます。
・英数字のフォントは意識して古い書体を使っていますが、格好いいとは言えません。それがエレガントかと言われたら違うでしょうね。
・製品名を機器のいちばん目立つところにデカデカと描くメーカーは稀です。昭和のクルマに良くありましたが、令和の今となってはデザイン文法は古いと思います。ですが、ニコンの懐古調デジタルカメラのように「装飾の変更」で需要喚起している訳ではありませんね。
・デザインはフォントに至るまで頑なに変えないというのを「方針」としてやっているのであれば、受け入れざるを得ません。そういう一貫性も含めての製品バリューだと思います。

◾️同包品について
・リモコン
使いません。電池も装填しません。依って使用感は不明です。
電源ケーブル
使用中の他社SACDプレーヤーのものより細いとは思わなかったです。びっくり。但し、電源周りにまで拘り始めたらキリがないので私は変えません。
・ラインケーブル
標準添付されているのは良いですね。1m程度のケーブルがノイズレベルに影響を与えるとは思えないのでわざわざバランス接続する必要もないでしょう。私は以前から使っている社外品のラインケーブルをそのまま流用しています。

◾️操作感について
・電源ボタン
理由があってこの設計にしている、というのでなければ改善して欲しいです。グニャッとした感触でどこまで押し込めばいいのか迷うレベル。
・インプットセレクタ
節度感があってとても良いです。スパッとした感触で切り替えられます。尤も私の場合「CD」から動かすことはないですが。
・ボリュームノブの動作
精密感があります。操作に遊びがないのは良いですね。
・ボリュームノブの回転量
本体に10段階の目盛が切ってあります。9時位置が2段階で-39dB。現実問題として拙宅は9時位置まで回したら間違いなく苦情が来る視聴環境で、MINと1段階位置の往復です。ノブの回転量と音量の関係は見直せるといいですね。

◾️機能について
・音決めに関しての絶対評価は難しいです。良し悪しでなく好き嫌いですので。
・従い、自分にとって好ましいかどうかという評価にならざるを得ませんが、これまで埋もれていた音がよく聴こえます。良いです。ちょっと元には戻れないですね。
・ボリュームを絞っても音が痩せません。ノイズレベルの低さが効いているのでしょう。まさか夜間にJBL4349から音を出せるとは思っていなかったです。
・バランス出力端子は1系統。「何が何でも2系統にバランス出力したい」方はC-2900に行くしかないです。私はライン出力しかしないので問題はないですが、念のため。
・トーンコントロール機能が付いています。かなり強力で、オリジナルの音色に影響を与えません。私はその時々の気分で高音域をプラス側に補正しています(JBL4349のトリムコントロール機能で高域・超高域のレベルを調整しても良いのですが、毎回変えるのは面倒なので本機のトーンコントロールのON/OFFで切り替えします)。
・音量レベル表示は便利です。最近はdB表示を見ながらボリュームの微調整をする習慣がつきました。

◾️総評
・思っていた以上の改善効果でした。満足です。
・コストに見合うかどうか、という考えはありませんでした。なお、C-2900は単に財布が無理だっただけです。A-48との組み合わせも予算からは少し足が出ました。
パワーアンプの選定は慎重に行うことをお勧めします。今回、コントロールアンプとパワーアンプの組み合わせによって音色はかなり変わる事を実感しました。

◾️その他
・C-2300+A-48とE-800について比較試聴はしていません。従い、どのくらい聴感上の違いがあるのかは解りません。スペックは近接していますが値段は5割増し。悩みどころですね。
・東京地区の店舗で、上記の組み合わせを同一フロア内で比較試聴が可能なお店は、私の知る限り1店舗だけありました。ですが今は展示機器をP-4600に変えたようです。
・それ以外のお店ではクラスが違うので別フロア展示の事が多いですね。従い「必ず何かしら購入するから試聴させて欲しい」と伝えてセッティングして貰うしかないと思います。
・E-800がBalanced AAVAを採用しているとしても、セパレートアンプ同等のプリ部という訳にはいかないでしょうね。パーツの選別とか、いろいろな意味で。それでも最後は音作りの方向性ですから、お好きな方をどうぞ。
・つまり、一体どっちが得なのか、なんて事で悩まない事です。私はE-5000なりE-800なりに百万出して、自宅で使って、それで駄目なら泥沼だと思ったからセパレートアンプを選択しただけです。こちらが聴感上優れていると思ったことはありません。
・聴感上の好みで選ぼうが、予算で選ぼうが、カタチで選ぼうが、設置場所の都合で選ぼうが、自分はこっちだと思った方を選択すれば幸せになれます。意思をもって選ぶことです。

◾️雑感
・同じ食材が調理法によって日本料理になったりイタリア料理になったりしますね。オーディオ機器メーカーのサウンドマネージャーがどんな方向性を希求しようと自由ですし、その反映としての製品がどんな色彩を帯びようが、それぞれ違って良いと思います。違いがあるからこそ、選択できる。有難いことです。
・私は「長く使えること」も選択条件のひとつにしていました。過去に何度も痛い目に遭っていますのでね。もし私に資金が潤沢にあって「何だったら使い捨てでも構わん」という立場なら、外国製アンプを選択したと思います。聴感上、私の好みに近いのはそちらでした。
・どういう訳なのか自分が選択しなかった機器を、鬼の首でも取ったように貶める輩が腐るほどいますが、信用しない事です。販売店のブログにも散見されますが本当に吐き気がします。
・写真機材でも何でもそうですが、使ってもいない機器に自分の主観を押し付けるくらいなら、自分の使っている機器の駄目なところについて言及出来ないのかと、私は心の底から思っています。
・いろんな前提条件があるのは仕方ありません。住宅事情や財布の中身。それはそれとして受け入れた上で、シンプルに何が自分の好みのテイストなのかという視点で機器選択すればいいと思います。

(続きます)