富士GFXを一式叩き売った話

ことによると来年の桜のシーズンには金にモノを言わせて買い戻すかもしれませんがね。我ながら何とも短い付き合いでした。
動きものも撮る私にとって、現時点で全幅の信頼を寄せている機材はα1です。もちろん、何に重きを置いて機材を選定するのかは人それぞれですが、私にとってGFXは「止まりもの専用のサブカメラ」でした。

前述のとおり富士の吐き出す画像は全くいいと思いませんし、私には色がいいだの悪いだのと騒ぎ立てる低脳はNewtonの「光とは何か」でも読んでから出直してこいという所感しかありません。加えて富士は露出の精度が低いのに後処理に関する考え方があまりにも「変」で付いていけなかった。これが機材を一式処分した理由です。

写真機材は使い続ける限りにおいてその価値が減耗することはありませんから「気が向いたら持ち出す」くらいの向き合い方でも良かったのかも知れません。ですがクルマを手放した私にとってα一式に加えてGFXを持ち出すというのは苦行でしかなく、使いもしないうちに後継機種でも出された日には目も当てられません。寄る年波には勝てず、遂に三日ほど背筋がバキバキになってしまい、換金するなら早い方がいいと思って一式叩き売りました。

さて。
こんなもの使えるかボケ!と思った直接の理由は、上述のとおりGFX50S IIの露出精度の酷さです。富士の露出精度の酷さはカメラメーカー最悪と思われるニコンといい勝負でしたが、そういえば両社とも画像エンジンを内製できない会社ですね。仕方ないと言えば仕方ないのかな…

しかも富士は現像を認めていません。
おそらく富士は絵作りをブラックボックス化したい訳ではなく、単に画像処理技術が他社より劣っていることを知っていて、敢えてそうしているだけなのでしょう。
「富士独自の絵」とやらを吐き出しているように糊塗する目的で、富士フイルムニコンキヤノンソニーとは異なるワークフローを採用しています。それ故にいつまで経っても富士フイルムはメジャープレイヤーになれない訳ですが、当然本人たちは気がついている筈です。確固たる信念でやっている事ではなく、お家の事情で仕方なくやっている事だと。

ソニーは撮って出しで9割方適正露出を叩き出してくれます。ニコンからソニーに乗り換えた時、露出精度の高さには本当に驚いたのですが、カメラが上手にハイライト基準とシャドー基準を使い分けているように思えます。
おそらくはテレビと家庭用ビデオで社内に画像処理技術の蓄積があるパナソニックもカメラ任せで精度の高い絵を作りこんでくれるでしょう。

一方の富士GFX。一律にハイライト基準で露出を決定しているような形跡がありました。このため1EV程度の露出アンダーは当たり前でとにかく露出が安定しないのです。
それ故に現地では撮影した結果をモニターしながら、その都度適切に露出補正をかける必要があったのですが、露出精度が低ければ必ず後付で現像処理が必要になります。これがもう、とんでもないイライラの種だったのです。
一応富士にも「AEオートブラケット」はありますがね。たったの3fpsでバッファがすぐ詰まる機材でそんなものが使いものになると思われても困る訳ですよ。

何度も繰り返し言及している事ですが、ニコンのように画像エンジンの絵作りが使い物にならないくらい酷いものであっても、現像処理でサルベージできればある意味で問題ないです。しかしながら前記事で述べたとおり、そもそも富士は現像と言うものを認めていないのです。

加えて富士は「悪意に満ちた落とし穴」を仕込んでいます。誰も指摘しませんが(怒)。
富士の純正ソフトはカメラ本体をパソコンに接続する必要があります。
判りやすく言うとGFX50S IIで撮影したRAWファイルを現像する為にはGFX50S IIをパソコンに繋ぐ必要があるという事なのですが、これがどれだけ酷い意味を持つかまだ分かりません?

私がGFX50S IIからGFX100Sに買い換えたとします。その瞬間にGFX50S IIの現像修理は未来永劫行えなくなってしまうという事です。もちろんカメラ本体が壊れたら最後です。

そこまでして富士は下取り交換を防ぎたいのなら、あまりに貧乏臭い話ですね。
故障であれ買い換えであれ、とにかくカメラを手放したが最後、そこから先は嫌でも社外品のソフトでせっせと「現像もどき」に勤しむしかなくなってしまう。
私は隠匿されているこの碌でもない事実に接したとき富士フイルムは高い金を出して機材を買う人間をバカにしている」と激昂しました。

最初の頃は市川のRAW FILE CONVERTER EX 3.0で現像をやってもいたのですが。
ですが、本当に市川ソフトさんには申し訳ないのですが、露出補正の考え方にどうしても馴染めませんでした。率直に言って「何これ」という代物でしかなかったので。

前述のとおり、大きく空を取り込むような構図では富士はかなりの確率で露出アンダーになります。この為、失敗ショットは後付でシャドー部をソフト的に起こしてやる必要があるのですが、RAW FILE CONVERTER EX 3.0でプラス側に露出を補正するとシャドー部を残したままハイライト側だけを明るく補正します。言うなればガンマカーブを弄っているのと同じ動きしかしないのです。逆にマイナス側に露出を補正するとハイライト部を残したままシャドー側だけを暗く補正するとゆー。

お前バカなのかよ!!
何から何までそうじゃないだろう!!

現像ソフトにおける「露出補正」とは、カメラ側が露出の設定をミスした場合に後付で発動するサルベージ機能でしょ?
だから「露出補正」はハイライトからシャドーまでリニアにプラス側、又はマイナス側に動かさないと駄目なんです。「明るさ」と「露出補正」は違う概念なんですよ。ちなみにニコンはこの点を正しく理解して、きちんと機能を分けています。

何から何まで使えない富士フイルム。どうしたらこの怒りが伝わりますかね…

いやもう本当に富士は許せん。
だって「買って初めて」気づきましたもん。こんな事も出来ねえかという破壊力抜群のガッカリ感。ちょっと言葉にできないですよ。

ニコンキヤノンソニーも「パソコン上で」「単体で」使える純正の現像ソフトを無償配布している訳で、それがこの世界の常識だと私は思っていました。カメラ本体をパソコンに接続しないと現像できないなどという気違いは富士フイルムだけ。加えて、各社とも自社の純正現像ソフトで調整したパラメータはRAWファイルに直接埋め込みできます。サイドカーファイルを切り出すのはもちろん富士フイルムだけ。

早い話が「欠陥商品」ですよ、富士のデジカメ。

ニコンのエンジンがいくらゴミみたいな代物であるとしても、ニコンは現像処理の必要性をきちんと認識していますからね。
この点ではソニーと言えど、未だ、ニコンには遠く及びません。EDITではマゼンダーグリーンの色被り補正はほぼ出来ないと言ってよく、ソフトの完成度が圧倒的に違いますのでね。

私が初めて購入したデジタルカメラは2004年のD2Hですが、19年経ってもニコンの純正ソフトで現像処理することが可能です。富士フイルムは機材を買い換えたらサヨウナラ。ふざけんな大馬鹿野郎。
この点ニコンは「楽しい」ですよ。19年前には考えもつかなかったようなやり方で失敗画像のサルベージが出来るようになりましたし、ソフト側も進化していますからね。

NX Studioを使う為だけの目的で、もう一度ニコンを買い戻そうかと思うことがあります。この点は本当に素晴らしいと思います。

そうやって考えるとですよ…
本当に富士GFXが吐き出す画像は解像度が高いのでしょうか。嘘も百回吐けば本当になると言う類の都市伝説じゃないんですか?
富士フイルムがレシピをブラックボックス化して現像処理を認めない理由は、コントラスト、彩度、明瞭度を高く取ることで解像度が高く見える画像をひたすら吐き出していることがバレるのが嫌なだけなんじゃないの、と。

いやもう本当に富士には腹が立つ。露出は外しまくる、現像は認めないじゃ、どうしようもないじゃねえか。金返せダボっ!
結論 : 富士フイルムだけは絶対止めとけ。

SARに掲載されてた「ソニーの新型高解像カメラ」の年内発売を激しく希望する次第です。以上!